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エイズ/HIV感染症 えいずえっちあいぶいかんせんしょう Acquired Immunodeficiency Syndrome (AIDS) / HIV Infection

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家庭医学館の解説

えいずえっちあいぶいかんせんしょう【エイズ/HIV感染症 Acquired Immunodeficiency Syndrome (AIDS) / HIV Infection】

◎ほとんどは、性行為で感染
[どんな病気か]
キャリアの状態が長年続く
[症状]
[検査と診断]
◎発病阻止に光明
[治療]
[日常生活の注意]

[どんな病気か]
 エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん))は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染でおこるHIV感染症の終末像というべき状態です。
 HIVは、人のからだの中に入ると、表面にCD4という受容体をもつ細胞に入り込み、さらにその細胞の核内染色体(かくないせんしょくたい)に組み込まれます。CD4は、免疫の一翼を担っている白血球(はっけっきゅう)のヘルパーリンパ球ももっているため、この細胞の中にも入り込み、破壊します。
 こうしてある期間がたつと、HIVは増殖し、ほかの細胞にも侵入し、破壊されるヘルパーTリンパ球が増えてきます。その結果、免疫機構が崩壊し、いろいろな病原微生物がくり返し感染し(日和見感染ひよりみかんせん))、治りにくい病気がおこってきます。この状態がエイズです。
感染経路
 感染経路は3つあります。
 1つは、HIVで汚染された血液との濃厚な接触です。これには、輸血や注射の回し打ちがあります。
 厚生労働省への報告では、血友病(けつゆうびょう)以外にも、大きな手術などで非加熱凝固因子製剤が使われたためのHIV感染が否定できない例があります。この感染経路は、血友病の患者さんが感染したのと同様、非加熱製剤の危険を十分認識していなかった医療側の責任です。
 また、輸血による感染が否定できない例も報告されています。これには抗体検査(こうたいけんさ)がされていなかった1986年11月以前の献血(けんけつ)血液の輸血による感染と、それ以降の感染があります。
 まだ抗体検査が陽性にならない感染初期に献血すると、検査が陰性であるため輸血に使われます。こうして輸血による感染がおこります。HIV感染の機会が12週間以内にあった人に献血をしないよう呼びかけているのは、この理由によるものです。
 2つ目は、HIV感染症にかかっている人との性行為で、男女どちらへも感染します。出血しやすいスタイルをとったり、コンドームを使わなかったりすると、感染の危険が高くなります。
 3つ目は、HIV感染症にかかっている母親からの胎児(たいじ)や新生児への感染(母子感染(ぼしかんせん))で、その率は約30%といわれています。
 エイズというと、麻薬常習者や男性同性愛者の病気のようにいわれますが、これは誤解です。WHO(世界保健機関)の資料によると、全世界でこの病気にかかった人の70%は男女間の性行為による感染で、アナルセックスによる感染は5~10%にすぎません。つまり、特別な病気ではなく、感染の機会さえあれば誰でもかかります。しかし、感染の機会がなければ誰もかかりませんし、予防もできるのです。

[症状]
 HIV感染症にかかっても、すぐには症状がでません。感染して2週間ぐらいたつと、短期間、かぜのような症状が出ることもありますが、その後はなんの症状もないキャリア(保菌者(ほきんしゃ))の状態が5年、10年と続くのがふつうです。したがって、症状からHIV感染症にかかっているかどうかを判断することはできません。症状はないのですが、他の人に感染させる能力はあります。
 いよいよ免疫力が落ちてくると、発熱、寝汗、だるい、体重減少、下痢(げり)などがおこってきます。この状態をエイズ関連症候群といいます。
 さらに免疫力の崩壊が進むと、いろいろな病原微生物が日和見感染をおこすようになります。これがエイズという状態で、HIV感染症にかかってから、エイズになるまでに平均8年かかるといわれています。
 エイズになると、おもに発熱、衰弱などの全身症状や、せき、たん、息切れなどの呼吸器症状が目立つようになります。また、HIVが神経細胞を障害し、健忘(けんぼう)や性格の変化などの精神症状や手足のしびれなどの神経症状が出てくることもあります。そのほか、カポジ肉腫(にくしゅ)、悪性リンパ腫という悪性腫瘍(あくせいしゅよう)が発生し、皮膚に病変が現われてくることもあります。

[検査と診断]
 ふつう、血液を採取して、HIVに対する抗体の有無を調べる抗体検査が行なわれます。
スクリーニング検査
 感染の徴候があるかどうかを調べる検査で、ELIS(免疫酵素法(めんえきこうそほう))とPA(凝集法(ぎゅうしゅうほう))とがあります。HIV抗体以外の物質に対しても陽性になることがあるため、陽性になると確認検査が行なわれます。
●確認検査
 ウエスタン・ブロット法やIFA(蛍光抗体法(けいこうこうたいほう))があり、陽性にでればHIV感染症と判断します。
 これらの抗体検査は、近くの保健所や医療機関で受けられます。保健所では無料・匿名(とくめい)の検査を予約制で行なっています。また大都市など、地域によっては、夜間や休日にも検査をしているところがあります。
 HIV感染が確認されると、CD4陽性細胞数とHIV‐RNA量の検査を定期的にします。CD4をもっている細胞がからだの免疫を担当していますので、この数で免疫能力を評価できます。また、PCRという特殊な技術を使い微量の核酸を検出する方法によって、流れている血液中のHIVの核酸(RNA)を測ります。これがHIV‐RNA量の検査です。免疫能力とHIVの活動性を、CD4陽性細胞数とHIV‐RNA量の検査で評価し、これらの値と感染者の臨床症状で薬剤の治療計画をたてます。この2つの検査は、治療効果を判定するときにも利用する重要な指標です。

[治療]
 HIVを殺す薬剤はまだ開発されていませんが、HIVの増殖メカニズムは少しずつわかってきました。現在、逆転写酵素阻害薬(ぎゃくてんしゃこうそそがいやく)(AZT、d4T、ddI、ddC、3TC)とプロテアーゼ阻害薬(インディナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル)など、HIVの増殖を抑える薬剤が使えるようになりました。これらの薬剤を組み合わせた併用療法により、エイズとして発病するのを遅らせる治療が進められ、実際に、発病を遅らせることができています。
 また、それ以外にも作用のしくみが異なる治療薬の開発が試みられています。この治療法は副作用も多く、ほかの治療薬と併用できないこともあって、専門医の指導が必要です。
 この病気の本質は、免疫不全(免疫が機能しない)です。この分野の治療法(免疫賦活療法(めんえきふかつりょうほう))が開発されないかぎり、次々に合併症をおこしてしまいます。免疫機能を回復させる各種の治療方法が試みられているものの、まだ有効な治療薬は開発できていません。
 日和見感染に対しては、まだ不十分ではありますが、治療の効果があがっていて、発病が先送りになりましたし、たとえ発病しても再び元気に社会復帰できる人が増えてきています。

[日常生活の注意]
 感染者の注意に、つぎのものがあります。
①治療計画を主治医と一緒につくり、適切な治療薬を適切な方法で使う。
②自分の症状に注目して、合併症の徴候を見逃さない。
③適切な栄養などで体力を維持する。
④病気に負けない気力を保つ。
⑤日々進歩している治療法・社会福祉制度など、情報源を確保する。
⑥個人情報を自分で管理し自分で守る。
⑦ほかの人にHIVを渡さない。自分の血液・精液を自分で管理するよう、自分の行動を変える。
⑧自分の免疫状態・HIVの活動性を知り、それに応じて生活管理をする(生水(なまみず)を飲まない、生鮮食料品をとらない、疲れ過ぎない、人ごみを避ける、適切な運動量の作業をするなど)。
 医療機関では、これらの注意事項に基づき、その人の諸事情を勘案し、その人に合った指導と助言をしています。
●利用できる福祉制度
 HIV感染者は、免疫障害の程度・日常生活上の障害の程度に応じて、障害認定を得るための申請ができるようになりました。障害者手帳・障害者年金の交付が受けられます。このほかに、治療費が支給される自立支援医療の対象になりました。
 このように、HIV感染者が病気と闘うのを支援するしくみができていますので、福祉係の人や病院の医療相談員に相談できるようになりました。
●感染者との接し方
 HIV感染者と家庭、職場、学校での生活を一緒に送っても、HIVに感染することはありません。多くの国や地域で、HIV感染者が社会活動に参加しています。
 しかし実際には、この病気は誤解され、嫌われ、HIV感染者に対する強い偏見と差別があります。このため、感染者は、健康や生命に対する不安のほかに、治療費など経済の困難や個人情報の漏洩(ろうえい)を心配し、疎外感を抱き、将来の生活設計に悩み、家族や友人とどうかかわっていったらよいのか悩んでいます。
 感染者から打ち明けられ、相談されたときは、まずその人の勇気を評価してください。また、安心して相談できる人だと思われたからこそ、あなたに打ち明けたのです。感染者の気持ちを理解し、病気と闘う努力を理解してあげてください。そのなかから、あなたの立場に応じた、感染者との接し方を考え出してください。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

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