エクメア(英語表記)Aechmea

改訂新版 世界大百科事典 「エクメア」の意味・わかりやすい解説

エクメア
Aechmea

パイナップル科の常緑草本で,南アメリカの熱帯地域に150~180種が分布し,その多くは樹や岩に着生している。葉は硬く,縁には硬く鋭いとげがある。葉は基部で重なり,短い筒状貯水槽をなす。花は葉の筒状部より上に伸びて,穂状花序をなす。苞や萼が着色し,長期間美しく,葉も色や形の変化にとみ,園芸的価値が高く,強健な種類が多いので,観賞用に栽植されている。シマサンゴアナナス(ファッシアータ)A.fasciata Bakerは最も栽培が多く,硬い多肉質のピンクの苞は数ヵ月も美しい。葉は白粉が横縞模様になる。黄白色の斑入種もある。エクメア・ティランジオイデスA.tillandsioides Bakerとその斑入種(cv.Variegata)は,細い葉を数枚つける小型種で,赤色苞と黄白色花の小花穂をつける。エクメア・チャンティニイA.chantinii Bakerは葉も花も美しいが,生長が遅いため栽培は少ない。サンゴアナナスA.fulgens Brongn.は萼が橙赤色の球状になり,長く残る。変種のウラベニサンゴアナナスvar.discolor Brongn.は,葉の裏面粉白を帯びた暗赤紫色で美しい。開花後に発生する子苗を株分けするが,実生による計画的な大量生産もされる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エクメア」の意味・わかりやすい解説

エクメア
Aechmea; aechmea

パイナップル科エクメア属の総称。熱帯アメリカに 150~180種が分布する。自生地では木や岩上に育つ着生植物。葉や花序の美しい種類が多く,パイナップル科の植物のなかでは,観賞用に最もよく栽培される。線形の葉が巻重なるように根出してそり返り,その中心から花茎を伸ばして穂状または円錐花序をつける。多くは花序が色鮮かな包で彩られ,葉にもしばしば斑 (ふ) が入る。最も一般的な種はエクメア・ファッシアタ A.fasciataで,淡桃色の美しい包が長期間観賞できる。一般に鉢植えで育てる。春から夏にかけては戸外で育て,冬は室内で5℃以上に保つ。夏の生長期には十分に水やりし,葉のつけ根の筒状部にも水をためる。冬は乾燥ぎみに管理する。

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