エスコラ石(読み)えすこらせき(英語表記)eskolaite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エスコラ石」の意味・わかりやすい解説

エスコラ石
えすこらせき
eskolaite

三二酸化クロムの鉱物コランダム系鉱物の一員赤鉄鉱のCr3+置換体に相当する。非常に単純な化学組成であるにもかかわらず、その発見は比較的最近の1958年、フィンランドのオウトクンプOutokumpu鉱山(閉山)で初めてなされた。自形は六角厚板状ないし六角柱状。広域変成岩中の変成スカルン中に産し、他のスカルン鉱物と共存する場合とその中の緑泥石脈中に含まれる場合とがある。氷河堆積(たいせき)物中や河川堆積物中の礫(れき)として産する。まれに隕石(いんせき)から報告されている。日本からは産出は報告されていない。

 共存鉱物は、磁硫鉄鉱ペントランド鉱黄銅鉱黄鉄鉱、含クロム苦土電気石chromian dravite(NaMg3(Al,Cr)6[(OH)4|(BO3)3|Si6O18])、滑石石英方解石灰クロムざくろ石、含クロム透閃石(とうせんせき)chromian tremolite(Ca2(Mg,Cr)5[OH|(Si,Al)4O11]2)、グヤナ石guyanaite(CrOOH)、ブレイスウェル石bracewellite(CrOOH)、グリマルディ石grimaldiite(CrOOH)、マコンネル石mcconnellite(CuCrO2)、葉ろう石、含クロム亜鉛尖晶石chromian gahnite(Zn(Al,Cr)2O4)など。同定は真っ黒い外観が与える鮮緑色の条痕(じょうこん)、形態、非常に高い硬度。命名はフィンランド・ヘルシンキ大学の変成岩岩石学の父といわれたエスコラにちなむ。

加藤 昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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