日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
エバンズ(Sir Arthur John Evans)
えばんず
Sir Arthur John Evans
(1851―1941)
イギリスの考古学者。名門エバンズ家の出。父は銀行家で考古学者としても知られたジョンJohn(1823―1908)、母はハリエットHarriet Ann Dickinson(1820―58)、異母弟に著述家のジョアンJoanがいる。早くから考古学を志し、オックスフォード大学、ドイツのゲッティンゲン大学に学び、オックスフォード大学のアシュモリアン美術館の学芸員となった。1900年、クレタ島のクノッソス遺跡の発掘に着手し、40年近く、壮麗なミノス王の宮殿の発掘と復原に従い、それまで知られていなかったミノス文明の究明に偉大な功績を残すとともに、1909年、オックスフォード大学教授となり弟子を養成した。彼はひとりミノス宮殿の実態の解明ばかりでなく、ミノス文明の時期区分を確立し、前ミノス文化の存在をつきとめ、ミノス文字の解読に挑戦した。主著に『ミノス文字』『クノッソスのミノス王宮殿』などがある。
[角田文衛]