エバンズ(Walker Evans)(読み)えばんず(英語表記)Walker Evans

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

エバンズ(Walker Evans)
えばんず
Walker Evans
(1903―1975)

アメリカの写真家。ミズーリ州セントルイスに生まれ、各地を転々とし、シカゴパリで教育を受ける。25歳で写真を志し、建築写真に専念するが、第一次世界大戦後の大恐慌時代に、ロイ・ストライカーRoy E. Stryker(1893―1975)が指導する合衆国政府農政安定局(FSA)に参加、ベン・シャーンやドロシー・ラングらとともに農業従事者の苦境を写真で記録する仕事に携わる。彼の作品はFSAメンバーのなかでも、とくにヒューマニティーにあふれ、描写精度も高いものであった。1930年代に、ニューヨーク地下鉄で隠しカメラによって車内の乗客を撮る試みを行ったが、このときの作品は斬新(ざんしん)なカメラ・アイで、都市生活のヒューマン・ドキュメントに新たな1ページを加えることとなった。

[平木 収]

『American photographs(1975, East River Press, New York)』『Walker Evans ; Photographs for the Farm Security Administration, 1935-1938(1975, Da Capo Press, New York)』『Walker Evans ; Havana 19331st American ed.(1989, Pantheon Books, New York)』『James Agee, Walker EvansLet Us Now Praise Famous Men ; Three Tenant Families(2001, Mariner Books, New York)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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