エピタキシャルトランジスタ(読み)えぴたきしゃるとらんじすた(英語表記)epitaxial transistor

精選版 日本国語大辞典 の解説

エピタキシャル‐トランジスタ

〘名〙 (epitaxial transistor) 結晶基板と同・異種物質をその上に置き、基板と同じ配列でその物質を結晶成長させることをエピタキシャル成長といい、それによる半導体から製作されたトランジスタ高周波、大電力用に適する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

エピタキシャルトランジスタ
えぴたきしゃるとらんじすた
epitaxial transistor

1956年にアメリカのベル研究所で、高周波に適するように改良されたトランジスタ。逆耐電圧が高く、スイッチ速度の速い特長をもっている。

 比抵抗(電気抵抗率)の低い基板結晶の上に、適当な大きさの高比抵抗ゲルマニウムまたはシリコンケイ素)の単結晶薄層をつくり、メサ形、またはプレーナ形のトランジスタ構造とする。エピタキシャルとはepi=on(~の上)、taxy=arrangement(配列)を意味し、結晶の上に、その融点より低い温度で、同一または類似の結晶構造をもつ結晶が基板結晶の原子配列にあわせて規則正しく配列することをいう。この場合はゲルマニウム、またはシリコンとも成長膜と基板とは同一の結晶を用いる。この方法を使うと、低比抵抗層上にそれより比抵抗の高い層を成長させられるので、優れたトランジスタをつくることができる。この種のトランジスタは主要部分を安定な二酸化ケイ素膜で覆って高信頼度化もできるので、ほとんどのトランジスタはエピタキシャル化され、バイポーラIC(双極性集積回路)にもこれが受け継がれている。

[右高正俊]

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