日本大百科全書(ニッポニカ) 「エレクトロン(合金)」の意味・わかりやすい解説
エレクトロン(合金)
えれくとろん
Elektron
ドイツのIG(イーゲー)社の技師エレクトロンG. Elektronの創製による、マグネシウムを主体とした合金の商品名。1909年発明。マグネシウムの力学的強度を向上させるためにアルミニウムを3~10%、耐食性を改善するために亜鉛を0.5~3.5%、マンガンを0.1~1.0%加えた合金であり、焼入れ、焼戻しをして強さを向上させて使用する。鋳物用合金としても用いられ、とくに内燃機関用のピストン材はアルミニウムを多くして高温に耐えるようにしている。また塑性加工用合金としても用いられ、320~400℃で棒、管、型材、ピストンなどに押出し加工ができる。第二次世界大戦中に都市に投下されたエレクトロン焼夷弾(しょういだん)はこれでつくられていた。
[井川克也・三島良續]