オジロワシ(読み)おじろわし(英語表記)white-tailed sea-eagle

改訂新版 世界大百科事典 「オジロワシ」の意味・わかりやすい解説

オジロワシ (尾白鷲)
white-tailed eagle
Haliaeetus albicilla

タカ目タカ科の鳥。全長70~95cm,翼の開張は180~240cmに及び,イヌワシとほぼ同大の大きなワシ成鳥の尾が白いことからこの名がある。ユーラシア大陸の北部に広く分布し,極北部のものは南下して越冬する。日本では北海道で少数が繁殖し,冬には九州南部まで渡るものがある。海岸や大きな湖沼の近くにすみ,水面近くに浮き上がってきた魚を大きな鋭い足のつめで巧みにとらえる。カモなどの鳥を捕食することも多い。北海道では,多数のハシボソガラスを巣の雛に与えていた例がある。流れ着いた魚や海獣死体も好んで食べる。ときにカッカッカッと鳴く。尾を除く全身は黒褐色で,頭部の色は淡い。尾の色は,幼鳥では黒褐色で成長するに従い白色部が増す。くちばしは黄色。脚は太くたくましく,黄色で目だつ。巨木樹上か岩棚の上に小枝枯草で巣をつくるが,日本ではもっぱら樹上に営巣している。巣は毎年同じつがいが使い,3~4月に1腹2卵を産む。天然記念物。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オジロワシ」の意味・わかりやすい解説

オジロワシ
Haliaeetus albicilla; white-tailed eagle

タカ目タカ科。全長雄 80cm,雌 95cm。体は褐色で頭頸部は黄褐色,尾は白い。ユーラシア大陸北部に広く繁殖分布し,ヨーロッパ中部,ペルシア湾東部から,インド北西部,東アジアなどで越冬する。日本では,北海道の北部および東部で少数が繁殖するほか,冬鳥(→渡り鳥)として各地の海岸,大きな湖沼,広い河原などに渡来する。おもに魚類をとるが,哺乳類や海鳥類も狩る。また,ほかの動物やタカ類のとった獲物を盗むこともよくあり,死肉もあさる。1970年国の天然記念物,1993年国内希少野生動植物種に指定された。(→ワシ猛禽類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オジロワシ」の意味・わかりやすい解説

オジロワシ
おじろわし / 尾白鷲
white-tailed sea-eagle
[学] Haliaeetus albicilla

鳥綱タカ目タカ科の鳥。ユーラシアの中部および北部、グリーンランド、アイスランドで繁殖し、冬はやや南に移動する。日本にはおもに冬鳥として渡来するが、北部に多く南部には少ない。少数は北海道東部や北部で繁殖する。全長約90センチメートル、翼長約65センチメートル、翼開長は約2メートルに達する。成鳥の体は褐色で頭部は淡褐色、尾は白い。若鳥は全体に褐色。海岸、河口、湖沼などにすみ、魚を主食としているが、鳥や哺乳類(ほにゅうるい)を襲うこともある。地上、枝上、流氷上に止まって休む。大木の上に枯れ枝を積んで大きな巣をつくり、1~2個の卵を産む。オオワシ同様、尾羽は古来矢羽として用いられた。1970年(昭和45)国の天然記念物に指定された。

[高野伸二]


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百科事典マイペディア 「オジロワシ」の意味・わかりやすい解説

オジロワシ

タカ科の鳥。翼長57〜72cm,雌のほうが大きい。体色は暗褐色で尾は白い。ユーラシア大陸の中北部,アイスランド,グリーンランドに分布。日本では北海道で繁殖し,冬は本州にも渡来。海岸や湖岸にすみ,おもに魚を捕食するが鳥獣も捕らえる。巣は巨木の上や断崖上に作られる。天然記念物。絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目ハクトウワシワシ(鷲)

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