オッペンハイマー(Franz Oppenheimer)(読み)おっぺんはいまー(英語表記)Franz Oppenheimer

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

オッペンハイマー(Franz Oppenheimer)
おっぺんはいまー
Franz Oppenheimer
(1864―1943)

ドイツの社会学者、経済学者。フライブルク大学ベルリン大学で医学や哲学を学び、多年ベルリンで開業医をしていたが、社会問題に関心をもち、業務の余暇に社会学や経済学の文献渉猟し、『国家論』(1907)を著して一躍有名になる。1909年ベルリン大学経済学部私講師、1919年フランクフルト大学社会学、経済学正教授となり、1929年病気退職した。ユダヤ人のためナチス迫害を受け1933年アメリカに亡命、1943年ロサンゼルスで没した。社会学を人間社会の歴史的発展に関する普遍科学とみて、個々の社会科学を結合する原理科学とみなした。こうした観点から、社会学は社会過程の理論であると定義している。また国家観については、グンプロビッチラッツェンホーファーらの征服国家論を継承し、政治的手段のもつ意味を重視していた。そして、社会発展の過程を経済的史観のみに頼ることを排し、政治的手段によって進行するものとして、やがて国家的権力組織なき無支配の社会「自由市民社会」Freibürgerschaftが到来するとした。主著には『社会学体系』4巻System der Soziologie, 4 Bde.(1922~1929)ほかがある。

[高島昌二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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