オヒョウ(落葉高木)(読み)おひょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オヒョウ(落葉高木)」の意味・わかりやすい解説

オヒョウ(落葉高木)
おひょう
[学] Ulmus laciniata (Trautv.) Mayr

ニレ科(APG分類:ニレ科)の落葉高木。樹皮は繊維と粘液に富む。葉は互生し、広倒卵形または倒卵形で先は通例浅く3~7裂し、先端は尾状にとがり、基部は左右が不対称、長さ9~18センチメートル、幅6~12センチメートル。花は4月ごろ、葉が開く前に開き、花被(かひ)は鐘形、帯赤色ないし緑黄色で先端が5~6裂する。雄しべは5~6本、柱頭は2裂する。翼果は卵状円形ないし楕円(だえん)状円形で先は浅く2裂する。カムチャツカ樺太(からふと)(サハリン)、ウスリー地方から中国北部、北海道から九州に分布し、北海道、本州山地の谷筋に多くみられ、樹皮の繊維はアツシ(厚司)の材料とする。材は挽物(ひきもの)細工、薪炭材として用いる。名はアイヌ名オピウ(樹皮)に由来するという。

[伊藤浩司 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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