オロチ

改訂新版 世界大百科事典 「オロチ」の意味・わかりやすい解説

オロチ (オロチ)
Orochi

ロシア連邦の極東地域,ハバロフスク地方に居住する先住民。人口880(1989)。自称ナニ(〈この地の人〉の意)で,ツングース諸語の一つであるオロチ語を話す。アムール川の下流域に定住生活をしていた漁労民で,食糧大部分を乾魚(ユッコラ)にしたサケ・マスと狩猟獲物に依存していた。日本海の沿岸地域では海獣狩猟も行われた。熊祭の儀礼も近年まで保持され,全体としてその文化は南に隣接するウデヘ族に類似している。オロチなど,この地域のツングース・満州語系諸族は先住民社会にエベンキ語系の民族集団が長期にわたり波状的にやってきて接触・同化した結果形成されたものと考えられている。旧ソ連時代にはコルホーズに組織され,漁労・狩猟のほか園芸などの仕事に従事していた。
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デジタル大辞泉プラス 「オロチ」の解説

オロチ〔自動車〕

光岡自動車が2007年から2014年まで製造、販売していた乗用車。2ドアクーペ。トヨタのハリアーエンジンおよび駆動機構を採用日本神話に登場する大蛇、ヤマタノオロチをモチーフとした独特なデザインを施している。

オロチ〔キャラクター〕

レベルファイブによるゲームソフト、またそこから派生したテレビアニメや玩具のシリーズ『妖怪ウォッチ』に登場する妖怪。ニョロロン族、サイズ140センチ。必殺技は「やまたのおろち」。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のオロチの言及

【ツングース諸語】より

…A群:(1)エベン語Even(またはラムート語Lamut),(2)エベンキ語Evenki(狭義のツングース語),(3)ソロン語Solon,(4)ネギダール語Negidal。B群:(5)ウデヘ語Udehe,(6)オロチ語Orochi。C群:(7)ナナイ語Nanai(またはゴリド語Gol’d),(8)オルチャ語Olcha(またはウリチ語Ul’chi),(9)ウイルタ語(オロッコ語)。…

【ソビエト連邦】より

…上記のハンティ,マンシ,ネネツもその一部であるが,大部分はツングース語系諸族と旧シベリア諸族(パレオアジアート,古アジア諸族とも呼ばれる)である。前者には西シベリアからオホーツク海沿岸に分布するエベンキ族,アムール川下流,サハリン,沿海州に分布するエベン族,ナナイ族,ウリチ族,ウイルタ族(旧称オロッコ族),オロチ族などの民族が属し,後者にはコリヤーク族,チュクチ族,イテリメン族(旧称カムチャダール族),ニブヒ族(旧称ギリヤーク族),ユカギール族,ケート族などの民族が属する。 インド・ヨーロッパ語族に属する言語をもつ民族には,前記のロシア人,ウクライナ人,白ロシア人(ベラルーシ人)のほかに,バルト海沿岸にリトアニア人とラトビア人,ウクライナの南に,ルーマニア人と言語・文化の面で近いモルダビア(モルドバ)人がいる。…

【ツングース語系諸族】より

…この2民族以外はロシアの極東地域(アムール川流域,沿海州,サハリン)に古くから居住してきた民族である。そのうち,ナナイ族ウリチ族オロチ族ネギダール族は,アムール川の中・下流域に定住し,サケ・マス漁を主とする漁労文化を発達させてきた。また,沿海州のウデヘ族は移動生活を送りながら,森林獣の狩猟と河川での漁労を営んだ。…

※「オロチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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