オーストラリア自由党政権(読み)おーすとらりあじゆうとうせいけん

知恵蔵 の解説

オーストラリア自由党政権

ジョン・ハワード首相が率いるオーストラリア自由党は、国民党との連立を組み、好調な経済に支えられて長期政権の座にある。ハワード首相は2006年3月、首相在任10年を記録した。1996年3月に首相に就任してから4期連続の長期政権を樹立しており、07年に予定されている総選挙も乗り切って5期目を狙う可能性もある。歴代政権ではメンジース自由党政権(49年発足、在任16年1カ月)に次ぐ長期政権。後継者としてはコステロ財務相が有力視されており、派閥闘争も顕在化していない。世論調査(ニューズポール社)によるとハワード首相への支持率53%に対して、野党労働党のキム・ビーズリー党首への支持は27%で、野党が政権を奪還するのは困難と見られている。首相への高い支持率は主に2つの理由がある。第1に好調な資源貿易と堅調な内需に支えられて経済が活況を呈しており、さらに財政再建にも成功して累積赤字を解消した。第2に対テロ戦争でイラクアフガニスタンに派兵しているが、幸運なことに戦闘での死者はなく、世論からの強い反発もない。ハワード首相はブッシュ米大統領の対テロ戦争に全面的に協力しており、対米同盟をオーストラリア安全保障政策の根幹に据えている。

(竹田いさみ 獨協大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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