カイラーサ山(読み)カイラーサざん(英語表記)Kailāsa

改訂新版 世界大百科事典 「カイラーサ山」の意味・わかりやすい解説

カイラーサ[山]
Kailāsa

古代インドの伝説上の山で,チベット南西部カイラス山脈の西部に位置するカイラス山(チベット名カンリンボチェ,中国語の音訳は岡仁波斉峰)がそれにあたるとされている。ヒンドゥー教およびラマ教の聖地として,古くから崇敬されている山である。インドの叙事詩プラーナでは,この山はシバŚiva神の住居として,その麓にあるマーナサ湖とともにしばしば登場する。また,世界の四守護神の一つで,北方をつかさどるクベーラKubera神(別名バイシュラバナVaiśravaṇa,毘沙門天(びしやもんてん))の宮殿もこの山にあるといわれる。仏教の宇宙論におけるスメールSumeru山(須弥山(しゆみせん))がこの山と同一視されることもしばしばある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カイラーサ山」の意味・わかりやすい解説

カイラーサ山
カイラーサざん
Kailāsa

インド神話における山の名。ヒマラヤ山脈中にあり,シバ神,あるいはクベーラ神の住所とされる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカイラーサ山の言及

【マーナサ[湖]】より

…インド神話上の神聖な湖で,ヒマラヤ山脈の最北端にあるシバ神の聖地カイラーサ山の南麓に位置する。インド最古の文献《リグ・ベーダ》以来,天女ウルバシーと人間の王プルーラバスとの恋愛物語として語り伝えられ,カーリダーサの《ビクラマ・ウルバシーヤ》など文芸作品にも取り上げられている《ウルバシー物語》の重要な舞台となった。…

※「カイラーサ山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android