カズウィーニー(読み)かずうぃーにー(英語表記)Zakariyā ibn Muammad ibn Mamūd, abu Yayā al-Qazwīnī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カズウィーニー」の意味・わかりやすい解説

カズウィーニー
かずうぃーにー
Zakariyā ibn Muammad ibn Mamūd, abu Yayā al-Qazwīnī
(1203/1204―1283)

ペルシア出身でアラビア語による百科事典の作家。その豊富な知識と批判力の不足から、プリニウスGaius Plinius Secundusと比較された。その百科事典の『生きもののふしぎとその特異性』'Ajā'īb al-mukhlūqāt wa-gharā'ib al-mawjādītでは、惑星恒星天使年代、四元素鉱物植物動物、人間を扱い、『諸国のふしぎ』'Ajā'ib al-buldānと『国々のあとかたと神のしもべの歴史』Āthār al-bilād wa-akhbār alk-'ibādでは、おもに地理学を扱っている。これらの知識は寄せ集めのがらくたのようであるが、当時を知るための貴重な資料となった。

平田 寛]

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改訂新版 世界大百科事典 「カズウィーニー」の意味・わかりやすい解説

カズウィーニー
al-Qazwīnī
生没年:1203-83

アラブの博物学者。ペルシアのカズウィーン(カズビーン)生れ。彼の編纂になる百科事典は,天文学宇宙論から動・植物学や年代学・地理学まで幅広く扱っており,当時の学問的知識の集大成といってよい。カズウィーニー自身は編纂者であって,独創的な内容はもたないが,宇宙論ではそれまでの成果をまとめあげ,一つの独立したジャンルにまで高めた点で,また地理学ではヤークートにほとんどを負いながらも,平易な叙述で地理的知識を広めた点で評価されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カズウィーニー」の意味・わかりやすい解説

カズウィーニー
al-Qazwīnī, Abū Yaḥyā Zakariyā ibn Muḥammad ibn Maḥmūd

[生]1203頃
[没]1283
ペルシア人百科学者。イスラムのプリニウスといわれる。彼の百科全書は『被造物の驚異と存在物の不思議』と題して,惑星,恒星,元素,動物,植物,人間,年代学を扱った部分と,『諸国の驚異』としておもに地理学を扱った部分に分れ,万物が取扱われている。

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