カタルーニャ自治州(西)(読み)かたるーにゃじちしゅう

知恵蔵 の解説

カタルーニャ自治州(西)

スペイン北東部、フランス国境に位置し、バルセロナヘロナタラゴナレリダの4県からなる自治州。人口は約630万人、GNPの約20%を産出する国内有数の商工業地帯であり、歴史的に独立心が強い。2006年5月にスペイン議会で同州の自治を強める自治憲章改定が採択され、同年6月の州民投票で承認された。(1)スペイン標準語よりカタルーニャ語優先、(2)州独自の徴税権利を認める、(3)州の司法権の独立性を高める、などの内容が盛り込まれている。中世には、政治・経済の繁栄を背景に、独自の議会や「ジェネラリタット」と呼ばれる政府機関が生まれた。19世紀末、自治を求める政治的カタルーニャ主義が誕生、1930年代の共和国時代には、自治制度(政府機構は中世・近代のジェネラリタットの名称を使用)が認められた。36〜39年のスペイン内戦中、カタルーニャは最後まで共和国側で戦い、内戦後半の一時期は戦火を逃れたマドリード政府がバルセロナに拠点を置いたこともある。フランコ時代にはカタルーニャ主義は強い抑圧を受けたが、75年のフランコ没後、77年にはジェネラリタットが復活し、78年憲法および79年自治憲章が成立した。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android