知恵蔵 「カタルーニャ自治州」の解説
カタルーニャ自治州
古代はローマ帝国、西ゴート王国の支配下にあり、8世紀初めにはイスラム勢力の侵攻を受けた。しかし、キリスト教徒のレコンキスタ(国土回復運動)によって、1137年にカタルーニャ・アラゴン連合王国を誕生させた。連合王国は地中海貿易で発展し、13~14世紀に絶頂期を迎えたが、1479年にカスティーリャ王国に吸収(スペイン統一)されると、経済的な地位も低下していった。 19世紀後半、ガウディに代表される芸術運動を契機に民族自決の気運が更に高まると、1931年、スペイン第2共和制の成立と共に独立を宣言し、自治政府(ジェネラリタット)を成立させた。しかしその後、フランコ独裁政権によって独立は阻止され、伝統行事の実施やカタルーニャ語の使用も制限された。
75年にスペイン王制が復活すると、カタルーニャも自治政府を復活させ、79年に自治州となった。2006年、カタルーニャ自治州はより高度な自治を求める自治憲章を制定したが、スペインの憲法裁判所は民族・財政・司法の独立等に関する条項を違憲として退けた。しかし、独立を求める声は収まらず、14年9月カタルーニャ州マス首相は、分離・独立の是非を問う住民投票を行うことを発表。これに対し、スペイン政府は「住民投票は違憲である」とする姿勢を崩していない。
(大迫秀樹 フリー編集者/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報