日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
カニンガム(William Cunningham)
かにんがむ
William Cunningham
(1849―1919)
イギリスの経済史家。エジンバラ生まれ。1878年からケンブリッジ大学で歴史を講じ、その経験から大学で経済史を教える必要を痛感し、教科書として『イギリス商工業の発達』The Growth of English Industry and Commerceを82年に刊行した。本書はその後増補改訂が繰り返され、イギリス経済史の古典となった。91~97年ロンドン大学キングズ・カレッジの経済学教授を務め、1907年以降はイーリーの国教会副監督として宗教界でも活躍した。彼の学風は、古典派経済学の伝統のうえに、広く世界各地を遊学した経験もあってドイツ歴史学派の影響を強く受けたもので、その経済史学は経済と政治の相互作用を重視した政策史的経済史の色彩が強い。また、熱烈な保護貿易主義者でもあった。
[一杉哲也]