カボット(英語表記)John Cabot

改訂新版 世界大百科事典 「カボット」の意味・わかりやすい解説

カボット
John Cabot
生没年:?-1498

航海者,地図製作者。イタリア名ジョバンニ・カボートGiovanni Caboto。ジェノバに生まれ,ベネチア帰化レバント貿易にたずさわったのちスペインに滞在,東洋に達するに西方航路の可能性を説く。志を得ず1494年イギリスの港ブリストルに現れ,97年ヘンリー7世の勅許を得て西航,北アメリカ東海岸に達する。のちイギリスは,これを根拠にこの地方の主権を主張した。翌年遭難。息子セバスティアン・カボットSebastian Cabot(1474-1557)も1508-09年ハドソン湾からフロリダに至る一帯探検。しかし,ヘンリー8世の即位,その後の情勢変化によって,12年頃スペインに去る。19-44年,多少の中断はあったが,同国の主任パイロット,航海学校長。この間南アメリカ,ラ・プラタ河口を探る。49年イギリスに再度航海熱が盛り上がるに及び,請われて渡英,同国海事関係者,ロンドン商人仲間から絶大な尊敬を集めた。51年北東航路探検のための会社,ロシア会社が設立され,その終身総督となった。
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百科事典マイペディア 「カボット」の意味・わかりやすい解説

カボット

イタリアの探検航海者。イタリア名Giovanni Caboto。英国に移住,ヘンリー7世の許可を得てインド航路発見を目ざして出帆,1497年北米のケープ・ブレトン島到達。1498年の第2次航海ではグリーンランドを探検,またニューファンドランドに到達した。息子S.カボットも探検家。
→関連項目カナダブリストル

カボット

イタリアの航海者。J.カボットの子。イタリア名Sebastiano Caboto。父とともに航海し,のちスペイン,英国の宮廷に仕えながら,インド航路の発見を目ざして数度の航海を行い,1508年―1509年ハドソン湾,ラプラタ河口などを探検した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カボット」の意味・わかりやすい解説

カボット
Cabot, George

[生]1752.1.16. マサチューセッツセーレム
[没]1823.4.18. ボストン
アメリカ建国期の政治家キャボットとも表記される。ニューイングランドにおける連邦派の指導者。アメリカ=イギリス戦争 (1812) 中,ハートフォード会議議長をつとめ大統領 J.マジソンの戦争政策を攻撃。戦後の国民主義の高揚のなかで非愛国者として指弾された。

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デジタル大辞泉プラス 「カボット」の解説

カボット

《Cabot》アメリカ海軍の航空母艦。インディペンデンス級航空母艦。巡洋艦ウィルミントンとして建造を開始。1943年、空母に変更、改名。その後、艦種が軽空母に変更。1943年7月就役。マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦などに参加。1947年に予備役となる。その後、予備役兵訓練などに使用された後、1967年、スペインに貸与され、空母「デダロ」として就役。1989年除籍。

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世界大百科事典(旧版)内のカボットの言及

【アメリカ】より

…理論上,パナマ地峡を境に,ヌエバ・エスパーニャ(メキシコ)副王領とペルー副王領が設けられたわけだが,それぞれの首都以外にもアウディエンシアと称する高等司法・行政機関が各地に設けられて直接統治にたずさわったので,それをもとに各地域の行政区画がおのずと成立し,19世紀独立期の共和国成立の基礎条件をかたちづくった。 トルデシーリャス条約成立の時点においては,海外活動に国力を傾けたのはポルトガル,スペイン両国のみであり,フランスのジャック・カルティエのカナダ航海(1534,1535,1541),イギリスのヘンリー7世派遣のジョン・カボットの北アメリカ航海(1497,1498)等を除けば,16世紀前半は,ヨーロッパ諸国は概してアメリカ大陸に対して関心が薄かった。しかし16世紀後半になると,政治的統一期に入ったイギリス,フランス,すこし遅れてオランダなどが,イベリア両国の海外事業に全世界的な干渉を加えるようになり,それらの諸国のアメリカ大陸およびカリブ海地域への割りこみが始まった。…

【ニューファンドランド[州]】より

…タラ漁をはじめとする漁業もいまだに州の全産出高の8%に達する。 ニューファンドランド島は1497年にJ.カボットが〈発見〉し,それを根拠に1583年H.ギルバートはここをイギリス領と宣言した。イギリスが海外に領土を所有した最初であった。…

※「カボット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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