日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリプソ(女神)」の意味・わかりやすい解説
カリプソ(女神)
かりぷそ
Kalypsō
(1)ホメロスの『オデュッセイア』に登場する女神(またはニンフ)で、アトラスとプレイオネの娘。オーギギア島に住む。トロヤからの帰途難破して漂着したオデュッセウスに恋して7年間彼を引き留め、さらにこのまま島に滞在するならば不老不死の寿命を与えようと申し出るが、望郷の念に駆られるオデュッセウスはこれを拒絶する。ゼウスもまたヘルメスをカリプソのもとへ遣わしてオデュッセウスの出立を命じたため、カリプソはこれに従って十分準備を整え、オデュッセウスを送り出した。ホメロス以後の伝承では、彼女はオデュッセウスとの間にナウシトオスとナウシノオスの2人の息子をもうけたとされている。
[丹下和彦]