カルノー(Lazare Hippolyte Carnot)(読み)かるのー(英語表記)Lazare Hippolyte Carnot

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

カルノー(Lazare Hippolyte Carnot)
かるのー
Lazare Hippolyte Carnot
(1801―1888)

フランスの政治家。大カルノー(L・N・M・カルノー)の第2子。青年期にサン・シモン主義を信奉、1830年七月革命の市街戦にも加わった。1839年以降共和派の下院議員として活躍、1848年の二月革命後、臨時政府の教育相となった。共和主義的「市民」を育成するために、初等教育教会からの独立と無償・義務教育制の導入(「カルノー法」)を図ったが、六月事件後辞任を余儀なくされた。翌1849年この法案廃案となり、王党派の後任ファルーによってカトリックの初等教育支配が強化された。第二帝政下では立法院議員に選ばれたが、宣誓を拒否、帝政崩壊後パリの区長や国民議会議員を務め、1875年には終身上院議員となっている。彼の共和主義的教育改革の理想は、長子M・F・S・カルノーに引き継がれて、第三共和政下の政教分離政策のなかで日の目をみることになる。

谷川 稔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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