カルボニックアンヒドラーゼ

デジタル大辞泉 の解説

カルボニック‐アンヒドラーゼ(carbonic anhydrase)

炭酸脱水酵素

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 の解説

カルボニック・アンヒドラーゼ
carbonic anhydrase

脊椎動物赤血球などに存在し,反応を触媒する炭酸脱水素酵素動物起源のものは亜鉛を含む。一般に体液pH調節に関係するとされる。組織内では呼吸等によって形成されたCO2血液に移行する反応,肺では血液からH2CO3がCO2になり空気に移行する反応を触媒している。また植物では光合成に関係があると考えられている。この酵素は,既知の酵素の中で最も高い分子活性をもつことでも知られ,酵素1分子当り,1分間に3.6×107個の基質を変換する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 の解説

カルボニックアンヒドラーゼ
カルボニックアンヒドラーゼ
carbonic anhydrase

EC 4.2.1.1.炭酸脱水酵素ともいう.炭酸を二酸化炭素と水に分解する可逆反応を触媒する酵素で,多くのサブタイプが存在する.

CO2 + H2O H + HCO3

動物,植物,細菌に存在する.赤血球中のものは組織から二酸化炭素を重炭酸イオンとして赤血球中に受け入れ,肺では逆反応によって二酸化炭素を放出すると考えられている.動物の赤血球より得られるこの酵素は,分子量3×104,亜鉛1原子と強く結合する金属酵素である.植物からのものは亜鉛を含まず,不安定なSH酵素である.[CAS 9001-03-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 の解説

カルボニックアンヒドラーゼ

 [EC4.2.1.1].炭酸デヒドラターゼともいい,H+HCO3&rlarrows;CO2+H2Oの反応を触媒する酵素.亜鉛を含む.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカルボニックアンヒドラーゼの言及

【亜鉛】より

…高等植物においても葉に特徴的な病斑が現れる。動物の赤血球中の酵素カルボニック・アンヒドラーゼ(二酸化炭素の水和と運搬に関与する)に含まれ,また酵母アルドラーゼの活性化,アルコールデヒドロゲナーゼ,ペプチダーゼなどの微量成分として酵素分子の活性中心を形成するうえで重要である。また動物細胞の核中に微量ながら広く分布しており,細胞分裂に関係があるとも考えられている。…

※「カルボニックアンヒドラーゼ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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