カロン(François Caron)(読み)かろん(英語表記)François Caron

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

カロン(François Caron)
かろん
François Caron
(1600―1673)

江戸初期の平戸(ひらど)オランダ商館長。ブリュッセル市に生まれる。1619年オランダ東インド会社船に乗り組み、翌年バタビアに至る。26年(寛永3)平戸オランダ商館助手となり、以後通訳、商務員を経て、39年館長に就任(~41年)、ポルトガル勢力を排除しオランダの対日貿易独占の基礎を築いた。妻はキリシタン江口十左衛門の姉で、6子をもうけた。平戸の商館閉鎖後離日、バタビア執行官、台湾長官、バタビア政務総監を歴任したが、植民地行政をめぐり本国理事会と対立、51年帰国した。65年コルベールにより設立されたフランス東インド会社の首席理事に就任、インドで活動したが、現地で軍人らと対立した。73年帰国途中リスボン湾で乗船座礁沈没して死亡。『日本大王国志』を著す。

沼田 哲]

『幸田成友訳『日本大王国志』(平凡社・東洋文庫)』『永積洋子著『平戸オランダ商館日記』(1981・そしえて)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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