カンゾウタケ(読み)かんぞうたけ(英語表記)beefsteak fungus 英語

改訂新版 世界大百科事典 「カンゾウタケ」の意味・わかりやすい解説

カンゾウタケ (肝臓茸)
beefsteak fungus
liver fungus
Fistulina hepatica(Schaeff.)Fr.

担子菌類カンゾウタケ科のキノコシイカシなどの生立木を侵し,心材を褐色に腐らす木材腐朽菌である。ヨーロッパ,北アメリカ,アジアに分布し,日本では北海道,本州,九州に産する。梅雨ころと秋に発生し,多汁肉質の子実体は大きさ10~20cmのウシの舌の形になり,上面は濃い紅色を現す。一見動物の肝臓に似た形をするためにこの名が与えられた。欧米では食用に供する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンゾウタケ」の意味・わかりやすい解説

カンゾウタケ
かんぞうたけ / 肝臓茸
beefsteak fungus 英語
liver fungus 英語
langue de bœuf フランス語
Ochsenzunge ドイツ語
Leberpilz ドイツ語
[学] Fistulina hepatica Fr.

担子菌類、サルノコシカケ目カンゾウタケ科の食用キノコ。シイの老木の幹の地際に近い所に生える。径10~20センチメートル、厚さ5センチメートルほどで鮮やかな血紅色を呈し、牛の舌または肝臓を思わせる。肉は柔軟で、断面をみると獣肉に似た赤白の筋模様を現し、血のような赤い汁を出す。傘の裏の管孔(くだあな)は黄白色、管は1本1本分離することができるのが特徴。梅雨のころ、または10月ごろに生える。日本をはじめ北半球に広く分布する。欧米ではナラ類に生え、ビフテキタケ、牛の舌、カンゾウタケなどとよばれ、バターでいためたり、薄く切って野菜とともになまのままサラダにして食べるが、酸味がある。

[今関六也]


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