カンムリヅル(英語表記)Balearica pavonina; black crowned crane

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンムリヅル」の意味・わかりやすい解説

カンムリヅル
Balearica pavonina; black crowned crane

ツル目ツル科。全長 100~105cm。頭部黄金色扇形の冠羽(→羽冠)がある。頬は皮膚が裸出し,上半分が白色,下半分がピンク色で,亜種によってはピンク色の部分が広い。また,小さな赤い喉袋が裸出している。胸から腹,背,尾は濃灰色で,頸から胸の羽毛は長く蓑状になる。初列風切は黒色,次列風切は褐色。雨覆は白く,胴体に近い部分は黄金色でこれも蓑状に伸びている。頭部は黒い。西アフリカのギニアからスーダンエチオピアにかけて不連続に分布する。サバナに生息し,乾燥した草原湿原でも暮らしている。第4趾が長く,枝をつかめるので,ツル類では唯一樹上に留まり,ねぐらをとることがある。南アフリカに分布するホオジロカンムリヅル B. regulorum はかつて同種に分類され,よく似ているが,頬の大部分が白く,上部にわずかに赤色部があり,頸は灰白色で,湿地のほうを好む。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンムリヅル」の意味・わかりやすい解説

カンムリヅル
かんむりづる / 冠鶴
crowned crane
[学] Balearica pavonina

鳥綱ツル目ツル科の鳥。頭上に黄色の扇状羽冠のある美しいツル。全長約1メートル。全体に黒色で、上下雨覆(あまおおい)は白色、次列・三列風切(かざぎり)は栗(くり)色である。顔は皮膚が裸出し、上半分白色、下半分ピンク色。エチオピアからセネガルまでの熱帯アフリカに分布する。湿地や川岸にすみ、しばしば農耕地に飛来して、穀物や昆虫類を食べる。草むらのバッタを採食するときには、足踏みして追い出してとる習性がある。アフリカ西部では半家禽(はんかきん)的に飼養され、畑の昆虫やヘビを退治させている所もあるので有益な鳥であるが、作物を荒らすこともある。姿がよいため、世界各地の動物園や公園で飼養されている。近縁種にホオジロカンムリヅルB. regulorumがあり、アフリカ東部と南部に分布する。

[森岡弘之]


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百科事典マイペディア 「カンムリヅル」の意味・わかりやすい解説

カンムリヅル

ツル科の鳥。翼長55cm,体長1m以上に達する。額の上方は黒いビロード状,後頭部にある黄色い扇状の羽冠が特徴である。アフリカ中南部の湿地や草原に群生ウガンダではシンボルとして国旗に描かれている。美しく,なれやすいため動物園などで飼われる。
→関連項目ツル(鶴)

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世界大百科事典(旧版)内のカンムリヅルの言及

【ツル(鶴)】より

…ツル属では頭上あるいは顔の一部の皮膚が赤く裸出している。カンムリヅル属やアネハヅル属は,頭に冠羽や飾羽をもっている。くちばしは比較的細長く,まっすぐで,先がとがっている。…

※「カンムリヅル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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