カンラン(橄欖)(読み)かんらん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンラン(橄欖)」の意味・わかりやすい解説

カンラン(橄欖)
かんらん / 橄欖
[学] Canarium album Raeusch.

カンラン科(APG分類:カンラン科)の常緑高木。中国原産で、ムクロジに似る。魚の骨が刺さったのを治すとの説から、和名ウオノホネヌキという。葉は互生し複葉で、小葉は長楕円(ちょうだえん)状披針(ひしん)形、全縁で硬い。花は白色小花で、葉腋(ようえき)の短い枝に総状につき、開く。萼(がく)は浅く3裂し、花弁は直立する。果実はモクセイ科のオリーブに似ており、卵状楕円形で長さ2.5センチメートル、秋に熟して下垂する。核果は熟しても緑色なので緑欖(りょくらん)ともいわれる。中国でオリーブに橄欖の字をあてるので、混同されることがある。日本へは江戸時代に渡来し、種子島(たねがしま)などで植栽される。果実は生食塩漬け、蜜(みつ)漬けにするほか、果実酒にして滋養剤とする。種子欖仁(らんにん)といい、中国料理に用いる。

[古澤潔夫 2020年9月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンラン(橄欖)」の意味・わかりやすい解説

カンラン(橄欖)
カンラン
Canarium album; Java almond tree

カンラン科の常緑高木で,インドシナ原産。高さ 15~20m,幹の直径 1mにもなる。葉は互生し,奇数羽状複葉。5月頃,葉腋に集散花序を生じ,3弁の白色の小花をつける。核果は卵状楕円形で長さ 25~30mm,緑色または淡黄色に熟する。一種香気酸味があり,生で食べるほか,蜜漬,塩漬にする。熱帯各地に栽培される。同属の C. ovatumC. luzonicumはピリー piliと呼ばれ,フィリピン原産でいずれもカンラン同様食用になる。またカナリーノキ C. communeはマレーシア原産で街路樹にされる。なお,オリーブにこのカンランの名を与えたことがあるが誤用である。

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