カー・セル(読み)カーセル

化学辞典 第2版 「カー・セル」の解説

カー・セル
カーセル
Kerr cell

カー効果を利用して,光の高速度シャッターや高周波変調に用いる装置.液体固体型式がある.液体型セルは図(a)のような構造をもち,ニトロベンゼンがよく用いられる.入射側偏光子と透過側偏光子を直交させ,かつ電場と45°の角にしておく.電圧(数 kV)を印加すると,だ円偏光になって暗視野は明るくなる.パルス電場ではシャッターになり,変調電場では光変調ができる.固体では,KDP(リン酸二水素カリウムKH2PO4)やADP(リン酸二水素アンモニウムNH4H2PO4)の単結晶が多く用いられ,その型式の一例を図(b)に示す.数十 MHz の光変調が可能である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカー・セルの言及

【カー効果】より

…この電気的カー効果は分子の分極が電場によって配向することに原因する効果で,異極性分子の分極率の研究に用いられる。直交した偏光子と検光子との間に精製したニトロベンゼンをおき,電極板によって光の進行方向と垂直に電場を加えられるようにしたものをカー・セルKerr cellという。ニトロベンゼンのカー効果の緩和時間が10-8秒程度ときわめて短く,電場がなくなると複屈折性も直ちに消失するので,これは電気的に操作のできる高速の光シャッターとして用いられる。…

【高速度写真】より


[瞬間シャッター]
 機械的シャッターは慣性が大きいため,露出時間は10-3s程度が最低限度である。そこで瞬間写真では応答速度の大きい電気(磁気)光学効果を利用したシャッターが用いられ,これにはカー効果を利用したカー・セルKerr cell,ファラデー効果を利用したファラデー・セルFaraday cellなどがある。ニトロベンゼンなどの等方な透明液体を透明容器に入れ,これに電極をつけたものをカー・セルという。…

※「カー・セル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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