カドーロ(英語表記)Ca' d'Oro

デジタル大辞泉 「カドーロ」の意味・読み・例文・類語

カ‐ドーロ(Ca' d'Oro)

イタリア北東部、ベネト州の都市ベネチア大運河カナルグランデ)沿いにあるゴシック様式の館。ベネチアの貴族コンタリーニ家の館として15世紀に建造。かつて外壁金箔が施されていたため「黄金の館(カドーロ)」と呼ばれるようになった。正式名称はサンタソフィア宮殿。19世紀末にジョルジョ=フランケッティ男爵の所有となった。現在はマンテーニャファン=ダイクなどの作品を所蔵するフランケッティ美術館として公開されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「カドーロ」の意味・わかりやすい解説

カ・ドーロ
Ca' d'oro

イタリア,ベネチアの大運河に面して立つ,ベネチア・ゴシック様式を代表する邸宅。1421-40年建造。軒先と軒飾が黄金色に塗装されていた(現在は剝落)ため,〈カ・ドーロ〉(〈金の館〉の意)と呼ばれるようになった。平坦な壁に方形の窓が開く右側部分に対し,左半分は石彫技術を駆使した華麗な装飾をもつ開放的な柱廊である。左右非対称な正面の構成は当時のベネチア住宅として例外的であるが,それが工事の中断によるものか,当初の計画であったかはさだかでない。現在はフランケッティ美術館として公開され,マンテーニャ,シニョレリ,ティツィアーノ,ファン・デイク等の絵画をはじめ,彫刻タピスリーメダル,家具などが展示されている。
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世界大百科事典(旧版)内のカドーロの言及

【ゴシック美術】より

…フィレンツェのパラッツォ・デル・ポデスタ(1255),パラッツォ・ベッキオ(1298‐),シエナのパラッツォ・プブリコ(1289)が,いかめしい壁体に窓を重ね,そこにわずかの装飾を付し,ベネチアのパラッツォ・ドゥカーレ正面(1309‐1424)は開放されたアーケードの上に豪放な壁体をのせ,窓をあけ,アーチや窓のデザインに燃えるような壮観をあたえている。ベネチアにはカ・ドーロ(1421‐36)をはじめ,はなやかなゴシック装飾の邸館が大運河に面していくつも数えられる。そのほか,ベローナ,ピアチェンツァ,ボローニャの都市建築,ボルテラの城,フィレンツェのポンテ・ベッキオなどが世俗建築の例としてあげられる。…

【ベネチア】より

… 14,15世紀には,アルプス以北からもたらされたゴシック芸術がこの町の東方的な装飾性の中で華麗に展開し,独特のベネチア・ゴシック様式を生み出した。パラッツォ・ドゥカーレやカ・ドーロなどがその最高傑作である。この時代にベネチアの建設活動は黄金期を迎え,高密で有機的な都市を築き上げた。…

※「カドーロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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