精選版 日本国語大辞典 「ガウス」の意味・読み・例文・類語
ガウス
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19世紀前半を代表するドイツの数学者。ブラウンシュワイクの貧しい家庭に生を受け,幼時から数計算に特異な才能を示した。ブラウンシュワイク公フェルディナントの後援を得て,1792年コレギウム・カロリヌムに進学,古典語,近代諸語を学ぶかたわら,I.ニュートン,L.オイラー,J.L.ラグランジュらの数学書に親しみ,95年には帰納的に二次の相互法則を発見した。同年秋ゲッティンゲン大学に入学。主として古典文献学,物理学に興味を示しつつ,ほぼ独力で数学を研究した。同大学の古典文献学教授。ハイネの影響もあって,当初は文献学者を目ざした。96年正十七角形の作図法を発見,98年にはゲッティンゲンを去り,翌年ヘルムシュテット大学から〈代数学の基本定理〉の証明などによって学位を得た。1801年,それまでの整数論研究を集成した画期的著作《数論研究》を刊行,新しく発見された小惑星ケレスの軌道計算の成功と相まって,数学上の名声を不動のものにした。07年,ゲッティンゲン大学天文台長のポストを供与され,これを受諾した。同大学では数学の講義も担当したが,内容はほとんど初等的なものであった。ベルリン大学開学の折には,数学教授に招請されたがこれを受けず,終生ゲッティンゲンにとどまることになった。19世紀初頭には,ボーヤイJ.やN.I.ロバチェフスキーに先立って,非ユークリッド幾何学の可能性を考え始めていたが公表は慎重に差し控えた。研究領域を純粋数学を超えて,天文学,測地学,電気・磁気学などに広げ,経験科学の分野に理論数学的問題を見いだした点にガウスの研究上の特徴が認められる。1830年代のW.ウェーバーとの実験物理学上の共同研究は著名である。ガウスはアルキメデス,ニュートンと比肩できる大数学者であったが,考案の横溢に比較して,発表には完全主義者の態度を保持し,19世紀前半のドイツ科学界で孤高の存在であった。54年,G.F.B.リーマンのゲッティンゲン大学就職講演〈幾何学の基礎をなす仮設について〉に出席し大きな印象を受けたと思われるが,それはまたガウスの時代の終焉(しゆうえん)をも刻印するものであった。
執筆者:佐々木 力
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出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
1777~1855
ドイツの数学者。その業績は19世紀数学のあらゆる分野に及び,特に整数論,行列式論,最小自乗法,複素数の導入,ポテンシャル函数の研究などが著名である。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…第5公準を大胆にも否定して,それを〈直線外の1点を通りその直線に平行な直線は少なくとも2本ある〉という公準におきかえた幾何学を構成したのはN.I.ロバチェフスキーとボーヤイ J.で,それは1830年ころのことであった。当時の数学界の帝王C.F.ガウスもこのような幾何学の存在を信じ,それを非ユークリッド幾何学と呼んだが,騒々しい非難を恐れて未発表にしたことが後年になってわかった。しかしながら,これらの人たちは非ユークリッド幾何学を展開しただけで,その無矛盾性を証明したわけではなかった。…
…測定,理論的推定,近似計算などの結果として得られた値と真実の値との差。諸量の測定値の誤差を数学的に取り扱う誤差論は,1800年代の初めにC.F.ガウスによって始められた。その主要な内容は彼自身によって完成されたといってよいほどで,同じガウスにより創始された最小二乗法と表裏をなすものである。…
…19世紀の初め,C.F.ガウスが天体の運動理論を展開するにあたって,多くの観測結果にもっともよく一致するよう軌道を決定するために開拓された方法であって,応用範囲も広く,誤差論と一対をなしている。 ある未知量を測定するのに,十分注意を払っても偶発的な誤差を免れない。…
…18世紀にはほとんどすべての数学者が応用に携わり,功利主義的な数学観が支配していたが,19世紀には〈ギリシアへの復帰〉の機運が見られるようになったのである。 C.F.ガウスは両世紀の境界に立つ数学者である。彼はゲッティンゲン大学の天文台長となって,みずから観測にも従事して,天文学,測地学,電磁気学など数学の応用にも著しい功績があったが,それに関連して最小二乗法を数学的に基礎づけたり,曲面論,ポテンシャル論を展開するなど,純粋数学の新生面をも開いた。…
…確率論の発展はこの推論の方法に大きな影響を与えてきた。
【数理統計学の始まり】
C.F.ガウスとP.S.ラプラスは,すでに19世紀の初めに母数の推定法を論じている。ラプラスは,その研究において,母数の真の値θと推定値との誤差を評価するのに絶対値|θ-|の単調関数を用いた。…
…このような疑問からオイラーは平方剰余の相互法則を発見した。この平方剰余の相互法則は,その後A.M.ルジャンドルによって再発見され,特別な場合の証明が与えられたが,完全な証明はC.F.ガウスが初めて与えた。またオイラーは,関数を考え,ζ(s)についていくつかの重要な性質を見いだした。…
…第2はF.ビエトらによる数式表示の革命,すなわち,それまで方程式は文章で表されていたのであるが,まずドイツで+,-の記号の使用が始まり,ビエトは+,-だけでなく,未知数を母音を表す文字で,係数を子音を表す文字で表して,文字係数の一般方程式を書き始めた。一方,三次方程式のG.カルダーノの解法においては,実根を求めるのに虚数が必要になることが当時の数学者を悩ませたが,18世紀のL.オイラーらが計算に虚数を使うようになり,やがて18世紀末から19世紀にかけてC.F.ガウスが複素数の重要性を明確にとらえて,ガウス平面の利用を含めて複素数を実在の数として数学者に意識させるようにした。ガウスを含む何人かの人々により複素数の体系が確立したことは,その後の数学の発展に非常に大きい貢献をした。…
…19世紀の末,測地学は理論的にも計測的にも早くも精密科学としての形態をととのえた。地磁気学も1600年のW.ギルバートの《磁石について》あたりから経験科学の姿をとりはじめ,19世紀の半ばには碩学C.F.ガウスによって地磁気ポテンシャルの一般理論が展開され,理論的科学としても確立した。地震学は明治の初め(19世紀末),日本で外国人科学者による地震計観測が始められて初めて近代科学となった。…
…メートル法に属する単位系の一種で,CGS単位系に分類されるが,電磁気に関係のあるさまざまな量のうち,電気的な量に対してはCGS静電単位系の単位を,一方,磁気的な量に対してはCGS電磁単位系の単位を用いる単位系である。例えば,電気的な量の一つである電荷に対しては,CGS静電単位系のcm3/2g1/2s-1を用い,磁気的な量の一つである磁束密度に対してはCGS電磁単位系のcm1/2g1/2s-1(これをガウス(G)と表すこともある)を用いる。折衷的な単位系ではあるが,それなりに実用上の便宜があるので,比較的広く使われてきた。…
※「ガウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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