ガガンボ(英語表記)Tipulidae; crane-fly

改訂新版 世界大百科事典 「ガガンボ」の意味・わかりやすい解説

ガガンボ (大蚊)
crane fly

双翅目ガガンボ上科Tipuloideaに属する昆虫総称。世界中に広く分布する。ガガンボとは〈蚊の母〉の意味で,元来はカガンボであったが,これがなまってガガンボの呼名が普及して現代に至っている。方言にカノオバ,カトンボアシナガなどがある。一般に体型がカに似るが大型で脚が長くとれやすい。翅は翅端の翅脈が細かに分岐し,カ科にはない中室がある。脈相や単眼の有無などによって分類され,ガガンボダマシシリブトガガンボヒメガガンボニセヒメガガンボコシボソガガンボなどの科に分類される。きわめて多くの種類が記録され,小型の種から前翅の長さが40mm以上になる大型種までいる。幼虫は水生,半水生,陸生でまれに潜葉性の種類がいる。一般に植物質を食べる。キリウジガガンボイネ害虫として知られ,冬季雪上にいるニッポンユキガガンボ(一名クモガタガガンボ)は翅を欠き,脚は太く毛深いのでクモ類をおもわせる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガガンボ」の意味・わかりやすい解説

ガガンボ
Tipulidae; crane-fly

双翅目ガガンボ科に属する昆虫の総称。語源は「蚊の母」であって,カガンボというのが正しいといわれる。また俗にカトンボともいう。カを大きくしたような形で,体も翅も細長い。肢もきわめて長いが脱落しやすい。非常に多くの種が含まれ,形態も多様化しており,なかには翅を欠くものもある。大きさもカに近い小型種から最大のミカドガガンボ Holorusia mikadoのように翅の開張 80mmをこえるものまでさまざまである。幼虫は水中や湿った地中にすむ。キリウジガガンボ Tipula ainoは水田付近に普通で,幼虫はイネの根を食害するため切蛆 (きりうじ) と呼ばれる。近縁の科にヒメガガンボ科とシリブトガガンボ科があり,口器の構造と翅脈によって識別される。 (→双翅類 )

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百科事典マイペディア 「ガガンボ」の意味・わかりやすい解説

ガガンボ

カガンボとも。双翅(そうし)目ガガンボ科と近縁の数科の昆虫の総称。一見カに似るが,より大型で肢が長く脱落しやすい。幼虫は細長い蛆(うじ)状で,湿った腐植質朽木キノコ水辺の土などの中にすみ,きわめて種類が多い。キリウジガガンボなどは害虫として著名

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世界大百科事典(旧版)内のガガンボの言及

【ガガンボモドキ(擬大蚊)】より

…シリアゲムシ目ガガンボモドキ科の昆虫。細長い体と脚,長い翅,飛ぶときのようすなどガガンボに似ているため,こう呼ばれる。…

※「ガガンボ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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