キネティックアート

精選版 日本国語大辞典 「キネティックアート」の意味・読み・例文・類語

キネティック‐アート

〘名〙 (kinetic art) 現代美術一つ作品自体が動いたり、動くものの一部分となったりしていて、「動く美術」というべきもの。

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デジタル大辞泉 「キネティックアート」の意味・読み・例文・類語

キネティック‐アート(kinetic art)

現代美術の一。作品自体が動いたり、作品を観客が動かすことができたりするもの。動く美術。

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改訂新版 世界大百科事典 「キネティックアート」の意味・わかりやすい解説

キネティック・アート
Kinetic Art

動的なしくみか駆動装置を有し,空間と時間とによる芸術表現を行う造形作品をいう。20世紀に現れた新しい芸術分野で,ロシアの彫刻家N.ガボがキュビスムや未来派の考えをもとに制作した,モーターを使った彫刻(1910)が最初の作品。その後,M.デュシャンの《回転半球》(1925)などがある。キネティック・アートを理論的に体系化したのは,モホリ・ナギである。1950年代後半から,ふたたびキネティック・アートの大きな動きが始まり,とくにJ.ティンゲリーの廃物機械を利用したナンセンスな機械彫刻は,機械技術文明への皮肉といわれている。このほか,アガムYaacov Agam(1928- ),ブリPol Bury(1922-2005),ソトJesus Raphael Soto(1923-2005),タキスTakis(1925- )などが戦後の第一世代の作家を形成する。このなかには,ひじょうに緩慢な動きを特徴とするブリのような作家から,細い垂直線の群れによる視覚的なバイブレーションを作りだすソトや,磁力作用を原理とするタキスなど,動きやそのメカニズムについて個性的な方向が現れている。グループ活動によって,キネティック・アートを推進したものとしては,デュッセルドルフの〈ゼロ・グループ〉,ミラノの〈グループT〉,パリの〈視覚芸術探求グループ〉,日本では〈実験工房〉などがある。60年代は,米ソの宇宙開発,コンピューター技術の進歩,そのほかテレビをはじめとする視聴覚メディア発達などにより,芸術と科学技術の歩み寄りの時代に入った。そのためキネティック・アートをはじめ,ライト・アート,コンピューター・アートなどの作品を対象とした大規模な展覧会が,世界各地で開かれた。70年代に入ると,機械的な動きのほかに,水,火,霧,煙などを使ったり,ビデオレーザー光による視覚的表現を伴うもの,小型コンピューターを内蔵した精密な動きをもつエレクトロニクスによるものが登場している。
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