キュリー=ワイスの法則(読み)キュリーワイスのほうそく(英語表記)Curie-Weiss' law

改訂新版 世界大百科事典 「キュリー=ワイスの法則」の意味・わかりやすい解説

キュリー=ワイスの法則 (キュリーワイスのほうそく)
Curie-Weiss' law

強磁性体および反強磁性体常磁性への相転移温度前者ではキュリー温度後者ではネール温度という)以上の温度における,磁化率と絶対温度との関係を与える法則。フランスのワイスPierre Weiss(1865-1940)によって確立されたもので,彼はキュリーの法則を一般化して,磁化率χが絶対温度T関数として,χ=C/(TΘ)のように表されるとした。Cキュリーの法則に表れたものと同じでキュリー定数Θワイス温度または常磁性キュリー温度と呼ばれる。強磁性体の場合にはΘはキュリー温度に近いが,反強磁性体の場合には負の値をとることもある。遷移金属・希土類金属イオンを含む化合物および希土類金属などの強・反強磁性体で成立し,また鉄族遷移金属およびその合金の強・反強磁性体で成り立つ場合も多い。磁気モーメントがこれら遷移金属などの磁性原子に局在している前者の場合には,この法則ははっきりとした理論的基礎をもっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キュリー=ワイスの法則」の意味・わかりやすい解説

キュリー=ワイスの法則
キュリー=ワイスのほうそく
Curie-Weiss law

常磁性状態での強磁性体の磁化率 χm が絶対温度 T の関数として χmC/(T-Θ) で表わされるという法則。この法則はキュリー温度のごく近傍以外ではよく成立する。 C はキュリー定数と呼ばれる物質定数,Θ は常磁性キュリー温度と呼ばれキュリー温度と数度違うだけである。反強磁性体でも同形の法則が成り立つが,Θ が負となる。強誘電体でも,キュリー温度よりも高い温度では誘電率と温度との関係が前述の形で書ける。 P.ワイス分子場概念を導入し,古典統計力学を用いてこの法則を導いた。

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