キョルオウル伝説(読み)きょるおうるでんせつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キョルオウル伝説」の意味・わかりやすい解説

キョルオウル伝説
きょるおうるでんせつ

トルコの伝説的英雄伝。『オグズ・ナーメ』に代表される遊牧トルコ人の民族伝承の系統を引いているが、とりわけ16、17世紀のトルコ、イラン、中央アジア方面における政治的・社会的事件、とくにオスマン朝に対するアナトリア民衆運動(ジェラーリー反乱)、クズル・バシの反乱、トルコ・イラン戦争などを題材に組み入れて内容豊富なものとなった。主人公キョルオウルKörolu(盲人の息子の意)が、迫害された民衆を組織して、悪代官によって盲人にされた父の仇(あだ)を討つというのがおもなテーマである。主人公は義賊であるが、同時に吟遊詩人としての性格をももつ。この伝説のなかには、民話、伝説などのモチーフもみられ、多くの場合史詩の形をとるが、これを題材とした民謡民族舞踊も各地に存在している。

[永田雄三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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