キング(読み)きんぐ(英語表記)Stephen King

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

キング(Stephen King)
きんぐ
Stephen King
(1947― )

アメリカの作家。メーン州ポートランド生まれ。メーン州立大学卒業。少年時代よりSFや怪奇幻想小説を愛読し、娯楽小説作家を志す。大学在学中に本格的に創作を始め、いくつかの短編は商業誌に掲載された。卒業後、高校教師をしながら執筆活動を行っていたが、1973年に長編『キャリー』の原稿が出版社に売れ、翌1974年に刊行が決まったのを機に退職。以降、『呪われた町』(1975)、『シャイニング』(1977)、『ザ・スタンド』(1978)、『デッド・ゾーン』(1979)と、1970年代に次々とベストセラーを放ち、モダンホラー・ブームの火付け役となる。
 1980年代に入っても、キングは精力的に創作し、『クージョ』(1981)や『ペット・セマタリー』(1983)、そしてモダンホラーの金字塔と称される『IT(イット)』(1986)などを発表。たんなるベストセラー作家にとどまらず、現代社会の病巣を表象するモダンホラーのブランド名、あるいはアメリカの狂気と悪夢を語る特異な作家として絶賛されるに至る。人気作家の例にもれず、キングの作品のほとんどすべてが映画やテレビで映像化されている。なかでも、ホラーではない『スタンド・バイ・ミー』(1986)や『ショーシャンクの空に』(1994)、『グリーンマイル』(1999)などの作品の評価が高い。キング自身も一度メガホンをとってB級ホラー映画『地獄のデビルトラック』(1986)を発表したが、大失敗に終わっている。
 1990年代には、連続小説の形式で毎月1冊のペースで刊行された『グリーンマイル』、キングの別名義リチャード・バックマン(代表作は『痩(や)せゆく男』1984)による『レギュレイターズ』(1996)とキング名義の『デスペレーション』の同時発売、きわめて純文学に近い作風の『アトランティスのこころ』(1999)など、話題作・意欲作を世に問い、そして2000年には、インターネット経由による電子本だけで販売された中編『ライディング・ザ・ブレット』を発表し、電子出版の可能性を探った。ちなみに小説以外の作品に、ホラー文化論『死の舞踏』(1981)と自伝的エッセイ『小説作法』(2000)がある。[風間賢二]
『池央耿訳『暗黒の塔1 ガンスリンガー』(1992・角川書店) ▽池央耿訳『暗黒の塔2 ザ・スリー』(1996・角川書店) ▽風間賢二訳『暗黒の塔3 荒地』(1997・角川書店) ▽風間賢二訳『暗黒の塔4 魔道師の虹』上下(2000・角川書店) ▽深町真理子訳『ザ・スタンド』上下(2000・文芸春秋) ▽池央耿訳『スティーヴン・キング 小説作法』(2001・アーティストハウス) ▽永井淳訳『キャリー』(新潮文庫) ▽永井淳訳『呪われた町』(集英社文庫) ▽永井淳訳『クージョ』(新潮文庫) ▽深町真理子訳『シャイニング』(文春文庫) ▽山田順子訳『スタンド・バイ・ミー』(新潮文庫) ▽吉野美恵子訳『デッド・ゾーン』上下(新潮文庫) ▽深町真理子訳『ペット・セマタリー』(文春文庫) ▽小尾芙佐『IT』1~4(文春文庫) ▽安野玲訳『死の舞踏』(福武文庫) ▽白石朗訳『グリーン・マイル』1~6(新潮文庫) ▽山田順子訳『デスペレーション』(新潮文庫) ▽風間賢二著『スティーヴン・キング――恐怖の愉しみ』(1996・筑摩書房) ▽ジョージ・ビーム著、風間賢二他訳『必携スティーヴン・キング読本』(1996・文芸春秋)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

フェロー

イギリスではこの呼称は主として次の3つの場合をさす。 (1) 大学の特別研究員 研究費を与えられ,多くは教授,講師を兼ねる。 (2) 大学の評議員 卒業生から選ばれる。 (3) 学術団体の特別会員 普...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

キングの関連情報