キン・ちぬる・すき・きず・あやまち(漢字)

普及版 字通 の解説


25画

[字音] キン
[字訓] ちぬる・すき・きず・あやまち

[説文解字]

[字形] 会意
(ゆう)の倒形)+(きょく)+(酉)(ゆう)+人。上部は秬鬯(きよちよう)などを入れる酒器)を両手でもち、倒(さかさま)にして注ぐ形。下部は人の上にその酒()をぐ形。すなわち鬯酒を人にいで清め祓うことで、礼をいう。また沐・浴という。〔周礼、春官、女巫〕に「時の祓除浴することを掌る」、〔注〕に「香を以て沐浴することを謂ふ」とあり、魂振りの儀礼に用いる。斉の管仲が虜囚を解かれるとき「三三沐」が行われたのはこの礼である。また礼器兵器を制作したときに、牲血を以て塗する礼があり、同じくという。礼器を彝器(いき)というのは、鶏血を以て塗の礼を行うからで、彝は鶏を羽交い締めにして血を吐かせる形である。これは修祓のためのみでなく、鋳きずを補う意味もあったらしく、それでにまた「すき」「きず」「あやまち」の意があり、過咎(きんきゆう)のように用いる。〔説文〕三上に「血祭なり」というのはこの塗の礼。字形について「竈(さう)を祭るに象るなり。爨(さん)の省に從ひ、に從ふ。は祭る以なり。に從ふ。は亦聲なり」とするが、その形も声も異なり、すべて支離の説である。

[訓義]
1. 酒をそそいで清める、はらう。
2. ちぬる、牲血を以てはらう、礼器・兵器を新作したときにぬる。
3. すき、きず、あな、ひびわれ、きざし。
4. あやまち、つみ
5. うごく。

[古辞書の訓]
名義抄 ウカガフ・ツミ・ヒマ・ウゴク・チヌル・ススム 〔字鏡集〕 ウカガフ・ツミ・トガ・ヒマ

[熟語]

[下接語]
・嬰・過・瑕・奸・間・観・窺・血・結・愆・元・垢・国・疵・衆・乗・禳・成・塞・多・大・致・肇・纏・塗・動・憂・余・妖・穢

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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