日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギニア(地方名)」の意味・わかりやすい解説
ギニア(地方名)
ぎにあ
Guinea
アフリカ西部、ギニア湾岸の地方名。広義にはアフリカ西端のベルデ岬からアンゴラ海岸までをさし、カメルーンのドゥアラ西方のカメルーン山とガボン沖合いのサントメ島を結ぶ線より、西を上ギニア、南を下ギニアとよぶ。狭義に使用するときは、リベリア東端のパルマス岬とガボンのロペス岬の間の海岸地方をさす。気候は高温多雨で、熱帯雨林型の植生を示す。
ギニアとはヨーロッパ人が名づけた名で、上ニジェールの商業都市ジェンネか、西スーダンの王国ガーナの転訛(てんか)とみられる。ヨーロッパの地図にギニアの名が現れるのは1350年だが、一般に使用されるようになったのは15世紀末である。ヨーロッパではギニアは金の産地と考えられていた。金を求めてポルトガル人が15世紀なかばに来航、しばらく交易を独占した。1530年以降、その他のヨーロッパ人も次々にギニア海岸に商館や堡塁(ほうるい)を建設し、交易を行った。海岸は、ヨーロッパ人により、主要な交易品にちなんで、穀物海岸(シエラレオネ、リベリア)、象牙(ぞうげ)海岸(コートジボワール)、黄金海岸(ガーナ)、奴隷海岸(トーゴ、ベナン、ナイジェリア)などの名称をつけて区分されたが、主要な「商品」はなんといっても奴隷であった。1870年までの間、新大陸向けの奴隷の大半はこの地方から「積み出され」た。
[大林 稔]