ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギブソン」の意味・わかりやすい解説
ギブソン
Gibson, William
アメリカ合衆国のSF作家。フルネーム William Ford Gibson。サイバーパンク運動の第一人者。 1967年高校中退後カナダに旅行し,そのまま住みつきブリティシュコロンビア大学を卒業,学位を取得。『JM』 Johnny Mnemonic (1981,1995映画化) など初期作品の多くは『オムニ』 Omniに掲載された。 1984年,最初の長編小説『ニューロマンサー』 Neuromancerを発表。 22世紀の情報泥棒がグローバルコンピュータネットワークのマトリックスに侵入し企業管理社会と戦う物語で,ネビュラ賞やヒューゴー賞などを総なめにし,サイバーパンクのさきがけとして評価を確立。ギブソンの造語「サイバースペース」は,「コンピュータがつくり出した現実」を意味するバーチャル・リアリティを先取りしたものとなり,その世界観は『カウント・ゼロ』 Count Zero (1986) ,『モナリザ・オーヴァドライヴ』 Mona Lisa Overdrive (1988) へと続いた。ビクトリア朝のイギリスが舞台の『ディファレンス・エンジン』 The Difference Engine (1990,ブルース・スターリングと共著) を経て,『バーチャル・ライト』 Virtual Light (1993) で再びサイバースペース小説に回帰。ほかに,東京を舞台にした『あいどる』 Idoru (1996) ,『フーチャーマチック』 (原題『All Tomorrow's Parties』,1999) など。
ギブソン
Gibson, Mel
アメリカ合衆国生まれのオーストラリアの映画俳優,監督,制作者。フルネーム Mel Columcille Gerard Gibson。12歳のときに家族でオーストラリアに移住。1974年オーストラリア国立演劇学院に入学し,在学中に映画デビュー。卒業後の 1977年南オーストラリア州立劇団に入団。1979年『マッドマックス』Mad Maxに主演。『ティム』Tim(1979)でオーストラリア映画協会賞主演男優賞を受賞。1981年の戦争映画『誓い』Gallipoliでも同賞を受賞した。『マッドマックス2』Mad Max 2(1981)で一躍国際的スターとなり,『マッドマックス/サンダードーム』Mad Max Beyond Thunderdome(1985)や「リーサル・ウェポン」シリーズでスターの地位を確立。『危険な年』The Year of Living Dangerously(1982),『ハムレット』Hamlet(1990)も高く評価された。1993年の監督デビュー作『顔のない天使』The Man Without a Faceにみずから主演。次いで監督した『ブレイブハート』Braveheart(1995)はアカデミー賞の作品賞と監督賞を含む 5部門に輝いた。2004年の『パッション』The Passion of the Christは興行的には成功したが,反ユダヤ,暴力礼賛,史実にそっていない,などという批判も浴びた。2006年の監督作品『アポカリプト』Apocalyptoではマヤ帝国の滅亡を描き,台詞にマヤ語を用いた。
ギブソン
Gibson, Althea
[没]2003.9.28. ニュージャージー,イーストオレンジ
アメリカ合衆国のテニス選手。全仏選手権大会(1956。→全仏オープン),ウィンブルドン選手権大会(1957,1958),全米選手権大会(1957,1958。→全米オープンテニス選手権大会)の女子シングルスで黒人選手として初めて優勝,テニスの世界で肌の色の壁を打ち破った。ニューヨークで育ち,1942年アフリカ系アメリカ人選手を対象とするアメリカ・テニス協会 ATA主催の大会でトーナメント初優勝。フロリダ農業機械大学(1953理学士号取得)に通うかたわら,黒人選手として初めて 1950年に全米選手権,1951年にはウィンブルドン選手権に出場した。長身で筋肉質の体をいかした力強いサーブ・アンド・ボレーを武器に,1950年代後半の女子テニス界に君臨した。
ギブソン
Gibson, Wilfrid Wilson
[没]1962.5.26. サリー,バージニアウォーター
イギリスの詩人。幼時より詩作を始め,生涯文筆に専念。 1897年『スペクテーター』に初めて作品を発表。 1902年に処女詩集『山の恋人たち』 Mountain Loversを出す。いわゆるジョージ朝詩人の一人として,日常的題材を好んで扱い,また故郷の風物を描く。『詩集』 Collected Poems 1905-25 (1926) ,『島』 Islands (32) ,『島の雄鹿』 The Island Stag (47) など。ほかに『日々の糧』 Daily Bread (10) などの戯曲もある。
ギブソン
Gibson, Edmund
[没]1748.9.6.
イギリス国教会の主教,神学者。オックスフォード大学に学んで聖職につき,1716年にリンカーンの主教,23年から 48年までロンドンの主教をつとめる。その間にギブソンは自分も属している高教会派の司祭たちをハノーバー王家と和解させることに尽力した。理神論に反対し,メソジストの過度の敬虔主義を戒めた。イギリス国教会法の学者で,著書には"Codex iures ecclesiastici Anglicani" (2巻,1713) などがある。
ギブソン
Gibson, Thomas Milner
[没]1884.2.25. アルジェリア
イギリスの政治家。 1839年保守党から自由党に転じ,マンチェスター選出の下院議員として R.コブデン,J.ブライトらとともに「穀物法」廃止に尽力。 46~48年商務院副総裁,59~66年同総裁。
ギブソン
Gibson, John
[没]1866.1.27. ローマ
イギリスの彫刻家。新古典主義の代表者の一人。 1817年にイタリアに渡り A.カノーバに学ぶ。彩色彫刻に特徴がある。主要作『ゼフュロスとプシケ』 (1816) ,『マルスとキューピット』 (19) ,『彩色ビーナス』 (51~55) 。
ギブソン
Gibson, William
アメリカの劇作家。中西部の弁護士と奔放なニューヨーク娘のロマンスを描いた『ふたりでシーソー』 Two for the Seesaw (1958) でブロードウェーにデビュー。代表作は,少女時代のヘレン・ケラーとその家庭教師アン・サリバン・メイシーの葛藤を感動的に描いた『奇跡の人』 The Miracle Worker (59) 。
ギブソン
Gibson, William Hamilton
[没]1896.7.16. アメリカ,コネティカット,ワシントン
アメリカの挿絵画家,文筆家,博物学者。きわめて正確な写実による花や昆虫の絵で知られる。白黒画が多く色彩を用いることは少い。ろうの造花にもすぐれた。
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