ギルトエッジド証券(読み)ギルトエッジドしょうけん(英語表記)gilt-edged securities

改訂新版 世界大百科事典 「ギルトエッジド証券」の意味・わかりやすい解説

ギルト・エッジド証券 (ギルトエッジドしょうけん)
gilt-edged securities

単にギルトエッジともいい,金縁(きんぶち)証券と訳す。名前は1694年発行の8分利付国債が縁を金色にいろどったことに由来する。ロンドン証券取引所に上場されているイギリス中央政府発行の債券。さらに地方自治体,公社,およびイギリス連邦諸国の中央政府,地方自治体ならびに公社の債券をも含むことがある。ふつうは大蔵省証券TB)を含まない。1850年代に創設されたコンソル公債が代表であったが,第1次大戦前には国債のほとんどがコンソルで占められたためである。ギルト・エッジはかつて優良投資対象の代名詞であったが,近年は市場利子率の高騰インフレーション進展などに伴って,額面を割ることが多く,この意味では優良証券とはいいがたくなっている。未曾有の国債連続大量発行が始まる直前の1973年末には,ギルト・エッジの名目総額は338億ポンド弱,時価総額は232億ポンド強であった。名目額ではロンドン証券取引所に上場されている証券総額の53%強,時価では13%弱にあたる。73年度のGNPに対する上記名目額の割合は45%強になる。ギルト・エッジのうち若干の〈公社〉債や自治領政府債はイギリス政府保証債である。ギルト・エッジは,5年未満の短期債,5年以上15年未満の中期債,15年以上の長期債,および無期債(コンソルが代表)に分けられる。イギリス政府債と同政府保証債について74年末でみると,短・中期債と長期・無期債の割合はほぼ55対45であった。保有分布は公的部門23.1%,銀行7.4%,その他金融機関31.7%(保険会社がその過半),海外部門11.0%,個人等26.3%となっている。74年以降の国債の連続大量発行は,国債の期間構造を急速に短期化し,インフレ圧力を強める一方国債管理政策の重要性を高めている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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