日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ギルバート(Walter Gilbert)
ぎるばーと
Walter Gilbert
(1932― )
アメリカの分子生物学者。ボストンに生まれる。ハーバード大学で化学と物理を学び、1953年に卒業し同大学の大学院に進学、ついでイギリスのケンブリッジ大学で1957年博士号を取得した。同年ハーバード大学に戻り、物理学助教授を務めていたが、1960年J・D・ワトソンの影響を受け、専攻を生物学に変更した。1964年から生物物理学準教授、1968年に生化学教授となり、1972年から同大学のアメリカがん協会分子生物学教授についた。
1960年代中ごろから生物学の本格的研究に着手した。大腸菌を用いてリプレッサー(遺伝子の作用を抑制する)タンパク質の分離、精製に成功、その性質について研究した。1977年には、F・サンガーの開発した「プラス・マイナス法」とは異なるDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列決定法を開発した。これはDNAの特定部分を切断する酵素を用いるもので、サンガーの方法より簡単に早く配列を決定でき、共同研究者の名とともにマクサム‐ギルバート法とよばれている。この業績により、1980年にノーベル化学賞をサンガーとともに受賞、DNA組換えの研究によるP・バーグも同時に受賞した。
[編集部 2018年7月20日]
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