クサネム(読み)くさねむ

改訂新版 世界大百科事典 「クサネム」の意味・わかりやすい解説

クサネム (草合歓)
sensitive joint-vetch
Aeschynomene indica L.

水田や川のほとりなど,日当りのよい湿地に生えるマメ科の一年草。葉がネムノキのようにたくさんの小葉をつけるため,クサネムという。高さ50~100cm。茎は緑色で無毛,よく枝分れする。葉は互生し,基部に托葉があり,羽状複葉で40~60枚の偶数個の小葉をつける。小葉は狭長楕円形,長さ10~15mm,幅2~3.5mm,両面無毛で裏面はやや白い。花は葉腋ようえき)から出る花軸上に総状に集まってつき,8~10月に咲く。淡黄色の蝶形花で長さ約10mm。豆果は無毛,広線形で長さ3~5cm,幅5~6mm,6~8個の種子を入れ,種子と種子の間に節がある。種子は黒色で,ほぼ円形。北海道から九州,旧世界の熱帯から暖帯に広く分布する。中国では全草を薬用とし,利尿解毒などに用いる。また緑肥とする。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クサネム」の意味・わかりやすい解説

クサネム
くさねむ / 草合歓
[学] Aeschynomene indica L.

マメ科(APG分類:マメ科)の一年草。茎は直立して、高さ0.5~1メートル、太く柔らかく、分枝するものもある。葉は羽状複葉で、40~60の小葉からなる。小葉は狭長楕円(ちょうだえん)形で、長さ1~1.5センチメートル、裏面は白色を帯びる。7~10月、葉腋(ようえき)の総状花序に2、3個の蝶形花(ちょうけいか)をつける。花は淡橙色、長さ約1センチメートル、萼(がく)は基部近くまで2裂する。豆果は広線形、長さ3~5センチメートル、側面にしわがあり、4~8個の小節果に分かれる。北海道から沖縄の水田や川辺の湿地に生え、アジア、ヨーロッパ、アフリカの熱帯から暖帯に広く分布する。名は、小葉の数が多く、ネムノキの葉と似ることによる。

[立石庸一 2019年10月18日]


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