クスクス(英語表記)cuscus

翻訳|cuscus

精選版 日本国語大辞典 「クスクス」の意味・読み・例文・類語

クスクス

〘名〙 (cuscus 元来、ニューギニア土語) 有袋目クスクス科のうち、クスクス属哺乳類の総称。体長三〇~六〇センチメートル。頭が丸く、目が大きい。尾は長く、よく物に巻きつく。体毛は羊毛状。体は白色から灰色暗褐色まで種々ある。雌は腹部に育児のうをもつ。オーストラリア、ニューギニア、スラウェシセレベス)などの森林に分布し、約十数種に分類される。夜行性果実や木の葉などを食べる。動作は緩慢。カスカス。ゆびむすび。

クスクス

〘名〙 (couscous) 北アフリカ料理の一つ。小麦などの粗びき粉を蒸して、野菜や羊肉などのシチューをかけたもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「クスクス」の意味・読み・例文・類語

クスクス(cuscus)

有袋目クスクス科の哺乳類の総称。猫大で、外形は原始的な猿類に似る。夜行性。樹上で暮らし、長い尾を枝に巻きつけて体を支える。足の第2指と3指が癒合しているところから「ゆびむすび」ともよぶ。7種がオーストラリアニューギニアスラウェシおよびその周辺の諸島に分布。カスカス。

クスクス(couscous)

北アフリカの料理の一。小麦などの粗びき粉をそぼろ状にして蒸したもの。また、それにシチューやスープをかけたり、肉や魚を添えたりした料理。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「クスクス」の意味・わかりやすい解説

クスクス
cuscus

有袋目クスクス科クスクス属Phalangerの哺乳類の総称。別名ユビムスビ。丸い頭に夜行性動物特有の大きな目をもち,外観は原猿に似ている。ニューギニアの熱帯林を中心にオーストラリア北東部,セレベス島などにブチクスクスハイイロクスクスなど約10種がすむ。体の大きさはネコ大あるいはそれ以下で,体長32~65cm,尾長24~61cm。毛は羊毛状で,種あるいは性別によって,赤色,黄色,灰緑色黒色など哺乳類中もっとも色彩に富む体色をしている。樹上生活者で,後肢の第1指が他の指と向かい合う対向性を示し,木の枝をしっかりとつかむことができ,また,ものに巻きつけることのできる尾をもつなど,木の上での行動に適した形質を備えている。動作はゆっくりとしていて,この点でも原猿に似る。主食は果実,昆虫,木の葉など。休息時には木の茂みの中に座り込んで何時間も動かない。雌は育児囊をもち,1産1子らしい。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クスクス」の意味・わかりやすい解説

クスクス
Phalanger; cuscus

有袋目クスクス科クスクス属に属する動物の総称。ハイイロクスクス P.orientarisとブチクスクス P.maculatusが代表的。7~10種に分類する説もある。体長は 27~65cm,尾長 24~48cm,体重は大きいもので 5kgに達する。雄は雌より大きい。体色はクリーム色から黒まで種によって違う。ブチクスクスでは雌雄の色が異なり,雄のみに暗色の斑点が出る。体つきは原猿のロリスに似て頭が丸く,耳は小さいが眼は大きい。体には絹糸状の毛が生える。後肢の第1指が他の指と向い合っており,樹木の幹や枝をヒトの手と同様しっかりつかむことができる。また尾の先端部は皮膚が裸出し,枝に巻きつけることができるなど,樹上生活によく適応している。動作は緩慢。単独生活が基本で,他の個体を威嚇することから「なわばり」をもっていると考えられる。夜行性で果実や木の芽を主食とするが,昆虫や鳥の卵も食べる。妊娠期間 13日,1産3子程度と思われるが,育つのは1頭。ニューギニア島の熱帯林,およびオーストラリアの北端部,マルク島,スラウェシ島,ソロモン諸島などに分布する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「クスクス」の意味・わかりやすい解説

クスクス

北アフリカ(マグリブ)各地に見られる料理。硬質小麦の荒挽き粉に少量の塩水を加えて練り,鉢に入れて手で転がして粒状にする。粟粒くらいになったものがクスクスで,これを二段重ねの蒸し器の上段に入れる。下段の鍋に肉,魚,野菜などを入れ,水と調味料を加えて火にかける。下鍋の蒸気で上鍋のクスクスが蒸しあがり,そのクスクスに下鍋で作ったシチューをかけて供する。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「クスクス」の解説

クスクス【couscous(フランス)】

チュニジア・モロッコなど北アフリカで作られる食材の一つで、あらびきの小麦粉を練って小さく丸め、粒状にしたもの。蒸して、肉類の煮込み料理やスープをかけて食べることが多い。二段に分かれた専用の鍋を用い、下段でクスクスにかけるスープなどを煮込み、上段の底には小さな穴が開いていて、下段から出る蒸気を使って上段でクスクスを蒸す。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「クスクス」の解説

クスクス

 粗挽きのコムギ粉を蒸したもの.肉,野菜などとともに食べる料理.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android