クマエビ(読み)くまえび

改訂新版 世界大百科事典 「クマエビ」の意味・わかりやすい解説

クマエビ (熊蝦)
Penaeus semisulcatus

甲殻綱クルマエビ科のエビで,水産資源として重要である。暖海性,沿岸性で,体長22cmに達する。体は紫色を帯びた赤褐色で,胸脚と腹肢が赤いためアシアカと呼ばれることも多い。第2触角の鞭状部には多数の赤色横帯がある。水深20m以浅の泥底が漁場で,アカエビやクルマエビと混獲されるが,あまり多くない。品質的にはクルマエビに次ぐ高級品とされる。産卵期は6月中旬から9月上旬で,頭胸甲長5mm~1cmのものが8~9月の湾内のアマモ場に見られる。10月ごろしだいに湾外の水深20m付近の深みへ移動する。このころは頭胸甲長2.5cm内外で,12月には4.5cmまで成長する。これが翌年に成熟して産卵し,その後死ぬ。産卵期にはやや岸近くに移動するが,主産卵場は水深10mほどの場所である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマエビ」の意味・わかりやすい解説

クマエビ
Penaeus semisulcatus; green tiger prawn

軟甲綱十脚目クルマエビ科。体長 23cmに達する大型種。頭胸部腹部淡褐色で,やや濃色の青緑色の縞がある。第2触角には白い縞模様がある。胸脚と腹肢に鮮やかな赤色の縞があるのでアシアカとも呼ばれる。房総半島以南のインド西太平洋海域浅海に広く分布する。雑食性であるが,共食いすることも多い。その獰猛な性質からクマエビの名がつけられたといわれる。てんぷらの材料としてクルマエビに次ぐ高級品とされる。東南アジアオーストラリアで養殖されている。(→甲殻類十脚類節足動物軟甲類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマエビ」の意味・わかりやすい解説

クマエビ
くまえび / 熊蝦
[学] Penaeus semisulcatus

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目クルマエビ科に属するエビ。胸脚と腹が縞(しま)のある赤色であるためアシアカともよばれるほか、多くの地方名がある。千葉県以南の西太平洋、インド洋に広く分布し、体長23センチメートルに達する。額角(がっかく)上縁に6~8歯、下縁に2~4歯があり、頭胸甲の正中稜(りょう)の側溝は前半部で消失する。産卵期は6月中旬から9月上旬である。頭胸甲長1センチメートルまでの稚エビは内湾のアマモ帯で生活しているが、10月ごろからしだいに湾外の水深20メートルぐらいの深みに移り、翌年に産卵して死ぬ。食用にされ、てんぷら材料として高級品である。

武田正倫]

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百科事典マイペディア 「クマエビ」の意味・わかりやすい解説

クマエビ

甲殻類クルマエビ科のエビ。体長は22cmに達する。体色は赤褐〜青褐色で,個体によって変異が多い。胸脚と腹肢は美しい赤色で,アシアカ,アカアシなどとも呼ばれる。第2触角のひげも赤のだんだら模様。東京湾以南,インド洋にまで分布し,浅海の泥底にすむ。水産資源として重要で,てんぷらなどにして賞味。
→関連項目エビ(蝦/海老)

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栄養・生化学辞典 「クマエビ」の解説

クマエビ

 [Penaeus semisulcatus].クルマエビ科の大型の食用エビで,体長20cm以上にもなる.

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