クラブ[古代ギリシア・ローマ](読み)クラブ[こだいギリシア・ローマ]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

クラブ[古代ギリシア・ローマ]
クラブ[こだいギリシア・ローマ]

古代の人々が共通の目的追求のために,自発的にしかも一時的にではなく,半永久的に組織した団体ギリシア,ヘレニズム世界,ローマに数多く存在した。 (1) ギリシア 前6世紀のソロンの法にすでに言及があり,前5世紀には政治団体があったことが知られる。古典期には宗教的なものがほとんどで,英雄やしばしば非公認の神々の礼拝や加入者の葬儀を行なった。民主政終息後は数もふえ,宗教的な名称機能をもちながら,社会的・経済的要素を有する団体が多くなった。特に通商の要地,デロスロードスエジプト,小アジアの都市に多く,さまざまな階層 (男女,自由人,奴隷,外国人) を宗教的,社会的に結びつける役割を果した。これらおもなものには,ディオニュソス祭儀と結びついたアッチカ,テーベ,デロス島の商人の団体などがあり,またあらゆる職種の団体もあって,親睦娯楽をその目的とした。 (2) ローマ 古くからコレギウムと呼ばれる神官の団体があり,ほかのものも主として宗教祭儀と結びつき,神や祭礼の名を冠した。神殿で会合し,団体の館 scholaにも神名を付した。共和政末期には政治的な結社が多くなり,内乱に巻込まれたためユリウス・カエサルはこれらを抑圧皇帝アウグスツスは団体の結成を皇帝か元老院承認によることとし,以後は比較的国家干渉はなくなり,おもに埋葬や社会事業,スポーツ,親睦を目的とするものが多くなった。同職団体が多く,特定の日に会合し,保護者の援助を得,基金や,世話役,会計係などをも有した。また貧民も参加することができたし,老人クラブなどもあった。

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