クラーク(John Bates Clark)(読み)くらーく(英語表記)John Bates Clark

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

クラーク(John Bates Clark)
くらーく
John Bates Clark
(1847―1938)

アメリカの経済学者。ピューリタン。ロード・アイランド州プロビデンスに生まれる。アマースト大学卒業後、3年にわたりドイツに留学し、K・クニースのもとでドイツ前期歴史学派の影響を受ける。帰国後、カールトン大学で教鞭(きょうべん)をとる。制度学派の創始者T・ベブレンはそのときの学生。その後、スミス、アマースト大学を経て、1895年コロンビア大学の教授となる。アメリカ経済学会第3代会長。

 1870年代の、W・S・ジェボンズ、C・メンガー、L・ワルラスにはやや遅れをとったが、クラークは独自に、86年に限界効用理論を、99年にはさらに限界生産力的分配論を展開し、いわばアメリカにおいて限界革命一翼を担った。また、クラークは、比較静学的分析の先駆者でもあった。しかし、歴史学派の洗礼を受けたクラークには社会倫理的視点も鮮明であり、効率と同時に公正を重視する点が特徴となっている。主著には『富の哲学The Philosophy of Wealth(1886)、『富の分配――賃金・利子および利潤理論The Distribution of Wealth : A Theory of Wages, Interest and Profits(1899)、『トラスト統制The Control of Trusts(1901)などがある。

[佐藤隆三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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