クラーク(John Maurice Clark)(読み)くらーく(英語表記)John Maurice Clark

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

クラーク(John Maurice Clark)
くらーく
John Maurice Clark
(1884―1963)

アメリカの経済学者。父は著名な経済学者J・B・クラーク。マサチューセッツ州ノーサンプトンに生まれる。1905年アマースト大学を卒業し、コロンビア大学で修士号と博士号を取得した。コロラド、アマースト、シカゴの各大学を経て、26年コロンビア大学の経済学の教授となる。アメリカ経済学会第37代会長。

 クラークは、父の経済学の衣鉢を継ぎ、新古典派の完全競争理論を手掛りに、それを現実の経済に近づけるうえで制度学派的接近方法を採用し、重要な貢献も少なくない。とりわけ、完全競争にかわる有効競争workable competitionの概念を提出し産業組織論の分野を開拓したこと、加速度原理景気循環に関する先駆的研究、社会的費用と私的費用の区別、会計上の費用と経済学者の費用概念の区別などの貢献はよく知られている。主著に『地方の運賃差別に関する合理的基準Standards of Reasonableness in Local Freight Discriminations(1910)、『間接費の経済学の研究』Studies in the Economics of Overhead Costs(1923)、『景気循環の諸要因』Strategic Factors in Business Cycles(1934)、『動態的過程としての競争』Competition as a Dynamic Process(1961)などがある。

[佐藤隆三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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