日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クラーク(Samuel Clarke)
くらーく
Samuel Clarke
(1675―1729)
イギリスの神学者、哲学者、イギリス国教会の司祭。ケンブリッジ大学卒業。独学でニュートン物理学を学び、その信奉者となった。宮廷付きの司祭を20年務め没す。ニュートン物理学の解釈をめぐるライプニッツとの往復書簡(1715~1716)は有名。唯物論や汎神(はんしん)論に対し、正統的キリスト教を擁護する『神の存在と属性』(1704)では、理性の強調と数学的方法による神の存在と属性の論証を試みた。また道徳の客観性を強調し、それを数学規則とアナロジカルな事物・行為そのものの普遍的「適合性」に求めた。ライプニッツとの論争では、ニュートンの絶対空間・時間を神の感覚器官とする説を擁護し、引力の概念をスコラ的にではなく、実証的に解釈すべきことを主張した。
[小池英光 2015年7月21日]
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