日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クリンガー(Friedrich Maximilian von Klinger)
くりんがー
Friedrich Maximilian von Klinger
(1752―1831)
ドイツの劇作家。ゲーテと交友し感化を受けた。ルソーとシェークスピアの影響を受け、『悩む女』(1775)、『双生児』(1776)を書き、代表作『シュトゥルム・ウント・ドラング』(1776)は、封建体制と理性偏重の時代思潮に反抗する文学革新運動の名称となる。ザイラー一座の座付き作者を経てロシア軍に仕官、昇進を重ね貴族となる。ロシア時代の小説『ファウストの生涯と行動と地獄落ち』(1791)では、情熱と天才の賛美を離れ、豊かな人生体験に基づく懐疑的境地を示している。
[長屋代蔵]