クルー・ドラゴン(英語表記)Crew Dragon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クルー・ドラゴン」の意味・わかりやすい解説

クルー・ドラゴン
Crew Dragon

アメリカ合衆国の宇宙ベンチャー企業スペースXが開発した有人宇宙船物資輸送用宇宙船のドラゴンをベースに開発され,ドラゴン2とも呼ばれる。高さ約 8m,直径約 4mのカプセル型で,再使用が可能。乗員は最大 7人だが,国際宇宙ステーション ISSへの飛行用は 最大4人となる。ISSから地球へ帰還時は,パラシュートで降下して海上に着水する。宇宙船には三つの窓があり,船内はこれまでの宇宙船のようにたくさんのスイッチが並ぶ様子はなく,タッチパネルの操作板が特徴的である。アメリカ航空宇宙局 NASAは,スペースシャトル退役後,ロシアのソユーズだけとなっていた,宇宙飛行士の ISSへの輸送に民間ロケットと民間宇宙船を使う方針を示し,その一つに,スペースXのファルコン9ロケットとクルー・ドラゴンを選んだ。スペースXは,ISSに物資を輸送する宇宙船ドラゴンを開発する当初から,人輸送を視野に入れて設計を行なっていた。2019年3月,テスト飛行ミッション(デモ1 Demo-1)が行なわれ,無人のクルー・ドラゴンの打ち上げ,ISSへのドッキング分離,地球への帰還が試験された。2020年5月には,民間初の有人宇宙飛行が実施された(有人試験飛行ミッション,デモ2 Demo-2)。2020年11月16日,ISSへの有人飛行ミッション Crew-1として,運用初号機『レジリエンス』がファルコン9ロケットで打ち上げられた。翌 11月17日,民間有人宇宙船として初めて,ISSとのドッキングに成功した。

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