日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレオメネス(1世)」の意味・わかりやすい解説
クレオメネス(1世)
くれおめねす
Kleomenes Ⅰ
(?―前490)
スパルタの王(在位前519ころ~前490)。ペロポネソス同盟の拡大強化を策した。ヒッピアスを倒してアテネの僭主(せんしゅ)政を終わらせた。その後アテネに干渉して寡頭政樹立を試みたが、アテネ市民の強い抵抗や同僚の王ダマラトスの反対で失敗した。しかしアルゴスを破ってスパルタの勢力を伸張した。対ペルシア関係では、遠方のイオニア反乱に直接関与することは避けたが、親ペルシアの動きをみせたアイギナには兵を進めた。彼は政策の主導権を握ろうとダマラトスを不当に廃位したが、これが発覚するとアルカディアで反スパルタ運動を組織した。スパルタ当局はこれを恐れて復位を条件に彼を帰国させたが、彼は気が狂(ふ)れて自殺したといわれる。
[古山正人]