クレブス(Edwin G. Krebs)(読み)くれぶす(英語表記)Edwin G. Krebs

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

クレブス(Edwin G. Krebs)
くれぶす
Edwin G. Krebs
(1918―2009)

アメリカの生化学者。アイオワ州生まれ。イリノイ大学で有機化学を専攻し1940年に卒業、1943年ワシントン大学で医学博士号を取り、1957年から同大学教授。1968年よりカリフォルニア大学デービス校へ。1977年にワシントン大学に戻り、1988年に名誉教授となる。

 1950年代に同じワシントン大学のE・フィッシャーとともに、筋肉細胞がグリコーゲンからエネルギーを取り出す機構を研究。グリコーゲンからグルコースを切り出してくるフォスフォリラーゼ(加リン酸分解酵素)には非活性型と活性型があり、その二つの型はアデノシン三リン酸ATP)から取り出されたリン酸基の着脱により制御されていることを発見した。その後、多くの機能タンパク質がリン酸化酵素(キナーゼ)と脱リン酸化酵素(フォスファターゼ)という2組の酵素の働きにより制御されていることが明らかとなった。またクレブスはある種のキナーゼ(プロテインキナーゼA)がサイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)により活性化することをみいだした。これらの功績により1992年、フィッシャーと共同でノーベル医学生理学賞を受賞した。

[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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