クロヅル(黒蔓)(読み)くろづる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロヅル(黒蔓)」の意味・わかりやすい解説

クロヅル(黒蔓)
くろづる / 黒蔓
[学] Tripterygium regelii Sprague et Takeda

ニシキギ科(APG分類:ニシキギ科)の落葉藤本(とうほん)。枝はつるとなり赤褐色で、低い稜線(りょうせん)がある。葉は卵形で長さ5~15センチメートル、低い鋸歯(きょし)がある。花は7、8月に開き、白色、直径約5ミリメートルで、枝の先の大形の円錐(えんすい)花序に多数つき、花序に短毛がある。果実は3枚の翼がある翼果で、種子は1個。深山に生え、本州の日本海側の山地紀伊半島の山地および四国、九州、朝鮮半島、中国に分布する。抗がんや抗炎症などの薬効成分を含むことが発見された。品種ウラジロクロヅルは葉の裏面が白いものをいう。九州南部や屋久(やく)島には、全体が小形で花序に毛のない別種コバノクロヅルT. doianum Ohwiがある。クロヅル属は東アジア特産の属で、4種があり、ここに述べた以外の2種は中国大陸や台湾に分布する。

[門田裕一 2020年2月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロヅル(黒蔓)」の意味・わかりやすい解説

クロヅル(黒蔓)
クロヅル
Tripterygium regelii

ニシキギ科の落葉つる性低木。おもに西日本と東北地方の日本海側の山中に生じる。茎の太さは 15cmにも及び,内皮はオレンジ色をしている。葉は卵形で支脈はあらい皺となり,長さ 10cmにもなる。初夏の頃,淡黄色の細花を枝先につける。果実は 蒴果で,三方に翼を伸ばし,黄褐色になる。ギョウジャカズラ別名があるが,この繊維行者袈裟を織る経糸 (たていと) に用いたゆえという。

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